2026年4月開設 アニコム×大阪大学が犬の口腔ケア研究
ベストカレンダー編集部
2025年11月11日 15:57
アニコム共同研究講座設置
開催期間:4月1日〜3月31日
イヌのビッグデータを活用する新たな共同研究講座の設置
設置の背景と基本的な狙い
国立大学法人大阪大学(総長 熊ノ郷 淳)とアニコム損害保険株式会社(代表取締役 野田 真吾)は、アニコムグループが保有するイヌの健康情報(ビッグデータ)を活用するため、「アニコム ビッグデータ MA-T 臨床科学共同研究講座」を大阪大学大学院歯学研究科に2026年4月に設置します。プレスリリースは2025年11月11日 14時04分に公表されました。
この講座は、イヌの口腔ケアや歯周病に関する基礎的・臨床的・医療経済的な検証を行うとともに、動物医療で得られた知見をヒト医療へ応用することを目的としています。アニコムグループの蓄積する保険・医療データと腸内細菌叢検査などの解析を組み合わせることで、疾患予防への展開を探ります。
研究目的の詳細
本研究講座の主な研究目的は、イヌに対する口腔ケアを通じて、がんを含む各種疾患予防の効果を検証することです。検証は基礎研究、臨床研究、医療経済学的分析の三側面から行われます。
さらに、動物医療で得たエビデンスをヒトの医療・介護現場に応用し、口腔ケアが疾患予防に及ぼす効果の検討を行います。動物医療に留まらずヒト医療への展開を視野に入れた研究体制を構築することが明示されています。
歯周病・腸内細菌叢とがんを結ぶメカニズムの解明
研究課題の背景と仮説
慢性炎症である歯周病は、多くの疾患に影響を与えることが報告されていますが、歯周病とがんを含む疾患の発症に対する関係性やメカニズムは未解明の部分が残ります。アニコム損保のデータ解析では、歯周病が口腔内に留まらず全身の健康状態に影響を及ぼし、腸内細菌叢の多様性を低下させる可能性が示唆されています。
これらの知見は、がん等の疾患発症との関連性を示唆するデータとも整合しており、本講座ではこれらの関連性と機序の解明を目指します。イヌは若年期から歯周病がみられ、ヒトと比較して疾患発症までの期間が短いこと、生活環境の変化が少ないことなどから、自然発症モデルとして解析する利点があります。
具体的な研究対象と手法
研究では以下の要素を中心に解析を進めます。データはアニコム損保のペット保険契約に基づく保険・医療データや腸内細菌叢検査結果などを用います。
- 歯周病の罹患率と他疾患(がん等)発症との関連解析
- 腸内細菌叢の多様性変化と全身免疫状態の関係
- 口腔ケアの介入効果(予防効果、医療経済的評価を含む)
これらを組み合わせることで、歯周病が体内で引き起こす慢性炎症の影響や、免疫系・腸内細菌叢を介した疾患発症メカニズムの解明を目指します。
運営体制・役割分担と設置概要
役割分担の明確化
本講座における主要な役割分担は以下のとおりです。大阪大学は基礎的・臨床的・医療経済的検証を担当し、アニコム損保はイヌの口腔ケア実施や健康情報の収集・解析および保険・医療情報の提供を担当します。
- 大阪大学
- 集積された健康情報を基に歯周病が全身健康に影響をおよぼす関係性およびメカニズムの基礎的・臨床的・医療経済的な検証を行います。
- アニコム損保
- イヌの口腔ケアの実施、健康情報の収集・解析、保険契約に基づく保険・医療情報の提供を行います。
研究代表者は、大阪大学側が大学院歯学研究科 教授 阪井 丘芳、企業等側の研究代表者はアニコム ホールディングス株式会社 執行役員 田村 勝利です。これらの体制で共同研究講座の運営が行われます。
設置概要と運営期間・場所
本講座の設置に関する基本情報は以下のとおりです。設置期間は限定されており、研究の成果と進捗に基づき計画的に運営されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | アニコム ビッグデータ MA-T 臨床科学共同研究講座 |
| 設置部局 | 大阪大学大学院歯学研究科 |
| 設置期間 | 2026年4月1日~2029年3月31日 |
| 設置場所 | 大学院歯学研究科F棟4階 オープンラボ4-4 |
| 大阪大学研究代表者 | 大学院歯学研究科 教授 阪井 丘芳 |
| 企業等研究代表者 | アニコム ホールディングス株式会社 執行役員 田村 勝利 |
大阪大学とアニコム損保がそれぞれの強みを持ち寄ることで、動物医療データから得られる知見を幅広く活用するための実務的な体制が整えられます。
データの活用方法と期待される成果の整理
利用するデータと解析の枠組み
本講座では、アニコム損保が保有するペット保険契約に基づく保険・医療データ、腸内細菌叢検査結果、口腔ケア実施に関する情報などを主に活用します。これらの大規模データを統合・解析し、疫学的解析、分子生物学的解析、医療経済評価などを組み合わせて研究を進めます。
データの取り扱いは倫理・法令・個人情報保護の観点から適切に管理されるものと想定され、研究の透明性と再現性を確保するための手続きが組み込まれます。
期待される成果と応用の方向性
本研究によって期待される成果は次の点に集約されます。第一に、歯周病とがん等疾患の発症に関する疫学的エビデンスと発症メカニズムの解明。第二に、口腔ケア介入がもたらす健康効果とその医療経済学的評価。第三に、動物医療で得られた知見をヒト医療や介護現場に応用するための示唆とエビデンス提供です。
これらの成果は、動物医療の質向上にとどまらず、ヒトの疾患予防や公衆衛生施策の検討材料としても活用される可能性があります。
関連情報と出典
本件の詳細はアニコム損保によるリリースで確認できます。プレスリリースの原文は以下のリンク先に掲載されています。
https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2025/20251111/
要点の整理:設置内容と研究の柱
以下の表は、本記事で触れた設置概要、研究目的、期間、主要な関係者と役割分担を簡潔に整理したものです。本研究講座の構成要素を俯瞰し、資料参照や関係者間での共有に活用できるようまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講座名 | アニコム ビッグデータ MA-T 臨床科学共同研究講座 |
| 設置部局 | 大阪大学大学院歯学研究科 |
| 設置期間 | 2026年4月1日~2029年3月31日 |
| 設置場所 | 大学院歯学研究科F棟4階 オープンラボ4-4 |
| 研究代表(大学側) | 大学院歯学研究科 教授 阪井 丘芳 |
| 研究代表(企業側) | アニコム ホールディングス株式会社 執行役員 田村 勝利 |
| 発表日 | 2025年11月11日 14時04分(アニコムグループ発表) |
| 主要研究目的 | イヌの口腔ケアを通じたがん等疾患の予防効果の基礎的・臨床的・医療経済的検証およびヒト医療への応用検討 |
| 主な研究課題 | 歯周病とがん等疾患の発症関連性、腸内細菌叢の多様性変化、口腔ケア介入の効果と医療経済性 |
| データ提供・協力 | アニコム損保による保険・医療データ、腸内細菌叢検査結果、口腔ケア情報の提供・解析 |
| 関連リンク | アニコム損保プレスリリース(2025/11/11) |
上記の表は本講座の骨格を整理したものです。設置期間、設置場所、研究代表者、研究の目的・課題および両者の役割分担といった主要事柄を明確に示しています。研究はアニコムグループの大規模データと大阪大学の学術的検証力を結びつけ、動物医療の成果をヒト医療へつなげることを目指します。
参考リンク: