11/26開幕 国立科学博物館 企画展「ワニ」の見どころ

国立科学博物館ワニ展

開催期間:11月26日〜3月1日

国立科学博物館ワニ展
入館料だけで見られるの?
はい。企画展「ワニ」は常設展示の入館料のみで観覧可能です。一般・大学生630円(団体510円)、高校生以下と65歳以上は無料。会場は上野・国立科学博物館で会期は11/26~3/1です。
どんな展示が見どころなの?
剥製や骨格標本、初公開標本、古文書、映像を4章で紹介。イリエワニ頭骨やセベクワニなど貴重標本に加え、福田雄介撮影のポスタービジュアルや保全課題の展示も注目です。

太古から現在まで──ワニという生きものを総覧する企画展

国立科学博物館は、企画展「ワニ」を2025年11月26日(水)から2026年3月1日(日)まで、日本館1階 企画展示室および中央ホールで開催します。展示は剥製や骨格標本、映像、古文書資料など多様な資料を通して、ワニの形態・進化・生態・人との関わり・保全までを広く紹介します。

展示ポスターのビジュアルは写真家の福田雄介によるもので、プレスリリースにも「企画展『ワニ』ポスタービジュアル(写真:福田雄介)」と明記されています。展示は常設展示の入館料で見学可能で、詳細情報は国立科学博物館の展示案内ページ(https://www.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00001559.html)およびトップページ(https://www.kahaku.go.jp/)で案内されています。

【国立科学博物館】企画展「ワニ」開催のお知らせ 画像 2

展示の構成と注目資料:4つの章でたどるワニ像

本展は研究や標本収集の現場を紹介する導入から始まり、ワニの進化史、現生種の生態、人との関わり、そして保全までを順に示す構成です。各章で示される標本や資料は、国立科学博物館所蔵の貴重標本に加え、初公開の標本も含まれる点が特徴です。

以下に章別の内容を詳述します。章番号はプレスリリースの区分に沿って0〜4まで設定されています。

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0)ワニを調べる

研究者がワニの形態や生態、進化をどのように明らかにしているか、そのプロセスと活動(標本の保存、野外調査など)を紹介する章です。国立科学博物館では標本の収集・製作・維持管理を通じて研究と教育に資する取り組みが行われています。

展示にはワニの皮標本や研究の現場写真、調査機材や記録が示され、研究の実務的側面が来館者に伝わる構成です。研究者のフィールドワークや標本調査の具体例を通じて、博物館研究の重要性が示されます。

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1)ワニがきた道(進化と多様性)

ワニの系統は中生代白亜紀に遡り、現生ワニは3科27種が世界各地に分布しています。この章では、初公開標本も交え現生ワニの多様性と長い進化の歴史をたどります。

展示される主な標本(所蔵:国立科学博物館)は次の通りです。

  • セベクワニ(所蔵:国立科学博物館)
  • アフリカクチナガワニ(所蔵:国立科学博物館)
  • メガネカイマン(所蔵:国立科学博物館)
  • マレーガビアル(所蔵:国立科学博物館)

化石資料と比較することで、形態の保存や変化、分岐の過程が示され、来場者はワニの系譜を視覚的に理解できます。

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生態と文化:ワニの生体情報と人との歴史的関係

ワニは大型から小型まで体格差が大きく、捕食者としての側面だけでなく、水生への高度な適応や繁殖行動、縄張り行動など社会性を持つ点が注目されます。本展はそれらの生態学的特徴を骨格や映像で示します。

また、ワニと人との関係を扱う章では、古文書や信仰・伝承の例を通して、人々がワニをどのように畏れ、敬い、利用してきたかを示します。龍を描いた絵巻物など、文化史的資料も展示されます。

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2)ワニという生きもの(形態・行動)

展示では、たとえばイリエワニの頭骨標本(所蔵:国立科学博物館)などを用い、咬合や顎の仕組み、四肢の構造、泳法などを解説します。大型種では全長6メートルに達すること、小型種では2メートルに満たない種があることなど、サイズの幅も示されます。

また、親子関係や子育て行動、縄張りに関する社会的行動の事例や映像を通して、ワニが単なる獰猛な捕食者というだけでなく複雑な行動を示すことが理解できる構成です。

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3)ワニと人(文化・歴史)

ワニは化石や伝説、信仰の中に登場します。展示には龍絵巻物(栗本丹州、所蔵:国立科学博物館)などの歴史資料が含まれ、人とワニの接点が多面的に示されます。人々がワニをどのように受け止め、表現してきたかが資料を通じて読み取れます。

こうした文化的側面は、自然史の展示として生物学的実態と文化史的解釈をつなげる役割を果たします。来館者はワニの生物学的な姿と、社会での受容・利用の歴史を併せて理解することができます。

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現状と保全の課題、展覧会の運営情報

人間の生活圏拡大に伴い、ワニは生息地喪失、乱獲、軋轢といった圧力にさらされ、多くの種が絶滅危機に直面しています。本展では現在の保全状況と共存に向けた取り組みを示し、野生生物との関係性を考える資料を提示します。

展示の監修・協力体制や開催に関する運営情報は次の通りです。

会期
2025年11月26日(水)~2026年3月1日(日)
会場
国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階 企画展示室及び中央ホール
開館時間
9時~17時(入館は閉館30分前まで)
休館日
月曜日(ただし月曜が祝日の場合は火曜日)、および2025年12月28日(日)~2026年1月1日(木・祝)

※ただし1月12日(月・祝)、2月16日(月)、2月23日(月・祝)は開館
入館料
一般・大学生:630円(団体510円)、高校生以下及び65歳以上:無料

※本展は常設展示入館料のみで観覧可能、団体は20名以上
主催
国立科学博物館
特別協力
熱川バナナワニ園
展示詳細URL
https://www.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00001559.html
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監修者と外部監修者

本展の監修は国立科学博物館の研究者が務めます。監修者の経歴や専門分野は展示内容に直接反映されています。

以下に監修者と外部監修者のプロフィールを示します。

国立科学博物館・動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究員
吉川 夏彦(よしかわ なつひこ)

専門はアジア産両生類(サンショウウオ類、カエル類)の系統分類学、生物地理学、生態学。山地渓流性ハコネサンショウウオ属を中心に研究。館内では両生類以外にもワニやヘビ、カメ等の爬虫類も担当し、標本の収集・製作・維持管理に携わっている。

国立科学博物館・生命史研究部 進化古生物研究グループ 研究主幹
對比地 孝亘(ついひじ たかのぶ)

専門は化石分類群の骨学、現生種の筋肉系の解剖学を中心とした爬虫類の比較形態学。現生生物の軟組織情報と化石骨格形態を組み合わせ、脊椎動物(とくに爬虫類)の解剖学的進化のシークエンスを解明することを目指している。首の進化的変化に関心がある。

外部監修者
福田雄介(ふくだ ゆうすけ)

オーストラリア・ノーザンテリトリー政府職員、国際自然保護連合・ワニ類専門家グループ オーストラリア地区副代表。若年でノーザンテリトリーに移住以来、イリエワニとジョンストンワニ(オーストラリアワニ)の研究に従事。野生個体群調査、頭数モデリング、人間社会との軋轢防除、遺伝子解析を専門とする。撮影活動も行い、新著に『クロコダイルに魅せられて』(みすず書房)などがある。

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展示の要点を表で整理

以下の表は本記事で述べた展示の主要情報を整理したものです。会期・会場・開館情報、入館料、主催・協力、展示の主要構成、監修体制、関連URLを一覧にまとめています。

項目 内容
展示名 企画展「ワニ」
会期 2025年11月26日(水)~2026年3月1日(日)
会場 国立科学博物館 日本館1階 企画展示室及び中央ホール(東京・上野公園)
開館時間 9時~17時(入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は火曜日)、12月28日~1月1日。ただし1月12日、2月16日、2月23日は開館
入館料 一般・大学生:630円(団体510円)。高校生以下及び65歳以上:無料。※本展は常設展示入館料で観覧可能
主催・協力 主催:国立科学博物館。特別協力:熱川バナナワニ園
展示構成 0)ワニを調べる、1)ワニがきた道、2)ワニという生きもの、3)ワニと人、4)ワニの現状と保全
監修者 吉川 夏彦(国立科学博物館)、對比地 孝亘(国立科学博物館)
外部監修者 福田雄介(オーストラリア・ノーザンテリトリー政府職員、IUCNワニ類専門家グループ オーストラリア地区副代表)
関連URL https://www.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00001559.html
https://www.kahaku.go.jp/

本記事では国立科学博物館が発表したプレスリリースの全文を基に、展示の構成、展示資料、監修体制、会期・会場・入館情報などの全項目を整理して伝えた。展示は生物学的側面と文化史的側面、さらに保全課題を結びつける構成であり、標本や映像、古文書資料を通じてワニという生きものの多面的な姿を示すことを目的とする。

参考リンク: