椰子の高さ、2月6日公開　ドゥ・ジエ日本長編デビュー

中国映画界の名撮影監督が日本で描く、新しい風景と物語

中国映画界で長年撮影監督として活躍してきた杜杰（ドゥ・ジエ）氏が、長編映画監督として日本でデビューする作品『椰子の高さ』が、2026年2月6日（金）よりアップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開されることが発表された。監督自身が監督・脚本・撮影・美術・編集を一手に担った本作は、作家的な視点から日本の風景と人々を描く意欲作である。

ドゥ・ジエ監督はこれまで『唐人街探偵』シリーズなど、中国の大作映画で撮影監督を務め、商業的成功のみならず国際的な映画祭でも多数ノミネート・上映された経歴を持つ人物だ。2024年には米国撮影監督協会（ASC）に加入し、2020年より日本在住。ドキュメンタリー監督の何祖杰氏と共にD·UNION FILMを設立している。

作品の成り立ちと監督の視点

ドゥ・ジエ監督は本作について「この映画は、外国人の視点から見た日本の物語」であると語る。物語の多くは、来日して最初の数年間に日常で見聞きした実際の出来事をもとにしており、典型的なドラマ構造に収まり切らない映画体験を意図している。

監督本人はまた、ある先輩からの「環境に慣れてしまったら、もう同じ映画は撮れなくなる」という助言を引用し、本作の制作過程を自身にとって「生命の延長」のようなものだと表現している。観客には重要なピースが欠けたパズルを自ら完成させるように映画を観てほしいと述べている。

足摺岬を舞台にした物語と主要キャストの役どころ

『椰子の高さ』の舞台は四国最南端の足摺岬。美しい自然に囲まれるその場所は、一方で自殺の名所としても知られる。物語は、愛する人を亡くした男と新婚旅行直前に恋人と別れた女が出会い、互いの“孤独”と“再生”がゆっくりと交錯していく過程を描く。

劇中、ペットショップで働く菅元（すがもと）を主演の大場みなみが演じる。大場は舞台出身で、近年は多くのインディーズ映画で存在感を示している若手女優である。持田（もちだ）役を務める田中爽一郎は、日本映画の中で着実にキャリアを積んでいる俳優で、劇中では写真家の恋人を自殺で亡くした過去を抱える男性を演じる。

ストーリーの要約と主要シーン

本作は菅元が恋人の青木と結婚を約束した矢先、関係が突如として終わるところから始まる。失意の中、菅元は二人で行くはずだった足摺岬へ向かい、そこで起きた出来事が物語を動かす。

滞在した宿で出会う持田はかつての恋人・凛を自殺で失っており、ふたりを結びつけるのは一つの指輪と共通する喪失感である。会話や時間のやり取りを通じて、止まっていたそれぞれの時間がゆるやかに再び動き始める様が描かれる。物語は明確な答えを示さないが、世界が少しずつ前へ進んでいく様子を静かに映し出す。

キャストと主要スタッフ

出演陣は主演の大場みなみ、田中爽一郎を中心に、小島梨里杏、渋谷盛太、千賀健史、田口敬太、烏森まど、崔凱晨、澤真希、小島ゆうな、酒瀬川純一、庄野広樹、吉田拓央、浜口宏樹らが名を連ねる。演技派を揃え、地方の風景と人物描写に重心を置いた配役が特徴だ。

• 主演：大場 みなみ（菅元役）
• 共演：田中 爽一郎（持田役）、小島 梨里杏、渋谷 盛太 他
• 監督・脚本・撮影・美術・編集：杜 杰（ドゥ・ジエ）
• プロデューサー：杜 杰、福井 一夫
• 音楽：陳 睦璉
• サウンドデザイン：李 哲
• 録音：石寺 健一、清水 雄一郎
• 配給・宣伝：ギークピクチュアズ

技術情報

2024 / 日本 / カラー / デジタル / 日本語 / アスペクト比 2.00:1 / Dolby Digital 5.1 / 99分

著作権

ⒸD·UNION FILM INC. 2024

国内外での評価、ポスタービジュアルとクラウドファンディングの詳細

本作は国際的な映画祭でも評価を受けている。2024年9月には釜山国際映画祭ニューカレンツ部門で初上映され、同年11月には東京フィルメックスでジャパンプレミア上映を行った。さらに2025年4月にはニューヨーク近代美術館（MoMA）共催の『New Directors/New Films Festival』に選出されている。

こうしたフェスティバルでの上映歴は、ドゥ・ジエ監督による日本での独自の視点と映像美が国際的にも注目されていることを示している。監督の映像表現は、従来の日本映画とは異なる空気感を持ち込み、観客に思考の余地を残す作りになっている。

ポスタービジュアル

解禁されたポスタービジュアルは、主演・大場みなみが儚げな表情を見せる印象的なカットを中心に据え、作品のテーマカラーとも言えるターコイズブルーを鮮やかに配色したデザインになっている。視覚的な要素が作品の内面と結びついていることがうかがえるビジュアルだ。

ポスターおよびその他のビジュアルは、作品の静謐さと風景描写の豊かさを伝える役割を果たしており、公開に向けた広報の重要な柱となる。

クラウドファンディングの目的と条件

ドゥ・ジエ監督の“作家としての表現”に共感し、応援する人を増やす目的で、全国での拡大上映を目指すクラウドファンディングが開始される。目標金額は120万円、プロジェクト期間は2025年11月20日（水）10:00から2026年1月15日（木）23:59までとなる。

応援のリターンには舞台挨拶やトークイベントへの招待、ドゥ・ジエ監督およびキャストのサイン入りパンフレット、オリジナルグッズなどが用意される。プロジェクトサイトは以下のURLで、目標達成にかかわらず、2026年1月15日（木）23:59までに集まった金額がファンディングされる方式である。

• 期間：2025年11月20日 10:00 〜 2026年1月15日 23:59
• 目標金額：120万円
• 応援プロジェクトサイト：https://motion-gallery.net/projects/coconut-trees
• 注記：目標達成に関わらず、期限までに集まった金額がファンディングされる

公開日程・配給・公式情報と会社概要

公開は2026年2月6日（金）よりアップリンク吉祥寺を皮切りに全国順次公開となる。配給・宣伝は株式会社ギークピクチュアズが担当する。公式サイト、SNS、公式note等で最新の情報が順次公開される予定だ。

公式の各種リンクは次の通りである。公式サイトは https://yashinotakasa-movie.com、公式Xは https://x.com/yashinotakasa/、公式noteは https://note.com/yashinotakasa であり、詳細情報やスケジュールの更新、イベント情報などはこれらで案内される。

配給・制作会社情報と問い合わせ先

制作・配給に関する情報は以下の通り。配給・宣伝はギークピクチュアズが担当し、同社の所在地や連絡先情報も公表されている。

ギークピクチュアズは映画・ドラマ・アニメ・MVなどの企画制作、配給に加え、広告映像や美術セット制作、クリエイターマネジメントなど多岐にわたる事業を展開している。

上映スケジュールに関する留意点

初日となる2026年2月6日（金）はアップリンク吉祥寺での公開で、以降全国で順次公開される。具体的な劇場拡大や舞台挨拶、トークイベントなどの情報は公式サイトおよびクラウドファンディングのリターン情報で随時案内される予定だ。

加えて、本作は中国では劇場公開が叶っていないため、日本での上映拡大を目指す取り組みが進められており、その重要な一環としてクラウドファンディングが位置づけられている。

要点の整理

以下の表は、本記事で取り上げた『椰子の高さ』に関する主要情報を整理したものである。公開日、初公開劇場、監督、主演、上映時間、配給、クラウドファンディングの期間と目標金額、公式リンク、会社概要の連絡先を含めて一覧化している。

以上が本作『椰子の高さ』に関する主要情報の整理である。作品は監督による個人的かつ作家性の強い制作姿勢と、日本の風景を外国人の視点で捉え直す試みが織り込まれている。公開・イベント情報やクラウドファンディングの最新情報は公式サイトや公式SNSで確認できる。