11月23日開催|鈴木雅明が初演する新発見バッハ曲

バッハ未知曲の本邦初演

開催日:11月23日

バッハ未知曲の本邦初演
本当にその2曲はバッハの作品なの?
ライプツィヒのバッハ資料財団が筆写譜の筆跡照合や1729年の願書などの史料照合を経て、学術的裏付けによりJ.S.バッハ作として正式に認定されました。
いつどこで聴けるの?チケットはどうするの?
公演は2025年11月23日(日)15:00、東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアルで、BCJ第169回定期にて鈴木雅明が本邦初演。チケット詳細はBCJ公式サイトで確認してください。

若きバッハの新たな側面を示す「チャコーナ」2曲の発見

有限会社バッハ・コレギウム・ジャパンは2025年11月20日21時03分に発表したリリースで、J.S.バッハの未知のオルガン作品2曲が新たに認定されたことを伝えています。これらはチャコーナ形式の作品で、これまで記録にない新発見として音楽史に重要な意味をもたらすものです。

発見された2曲は、若き日のバッハが作曲において南ドイツ系と北ドイツ系の技法を融合しようとしていた姿を示すものであり、さまざまな音楽的特徴が確認されています。発表はライプツィヒのバッハ資料財団(Bach-Archiv Leipzig)によって2025年11月17日に行われ、筆写譜がブリュッセル王立図書館に所蔵されていたことが明らかにされています。

作品の音楽的特徴と成立年代

リリースによれば、作品はバッハがアルンシュタットに赴任した時期、1703年前後の作と推定されます。当時18歳前後であったバッハは作曲家として急速に飛躍しており、今回の2曲にも当時の特有の語法が随所に現れているとされています。

具体的には、オールドルフで兄に学んだ南ドイツ系の伝統、およびリューネブルクでゲオルク・ベームから学んだ北ドイツの技法が混ざり合い、変奏・オスティナートと大規模なフーガを結びつける構造、さらにカンタータ第150番《主よ、われ汝をあおぎ望む》BWV 150のチャコーナを想起させる素材が確認されています。これにより若きバッハの作風形成過程に新たな視点が加わります。

  • 形式:チャコーナ(変奏・オスティナートを基盤とする作品)
  • 技法:南ドイツ系伝統と北ドイツ系技法の融合、変奏からフーガへの展開
  • 成立年代推定:1703年前後(アルンシュタット赴任時期)

発見の経緯 — 資料と人物がつなぐ確証の連鎖

今回の認定に至る過程では、長年の研究と新たな資料照合が重要な役割を果たしました。鍵となったのは、ブリュッセル王立図書館に保存されていた筆写譜集と、それに結びつく歴史的記録の発見です。

バッハ資料財団の所長であるペーター・ヴォルニー氏は、30年以上前にこの筆写譜の存在に気づいていたとされていますが、今回の確証はさまざまな資料照合と新発見により得られました。特に筆写譜の筆跡と別資料の突合が決定的とされています。

ザロモン・ギュンター・ヨーンの記録と筆跡照合

決定的な証拠は、無名のオルガニストとして記録されるザロモン・ギュンター・ヨーン(ザロモン・ギュンター・ヨーン)の存在でした。2023年以降、ヴォルニーが統括する「BACH Research Portal」の調査中に、同僚によって1729年の願書が発見され、その文面にヨーンが「1705〜1707年にバッハの弟子だった」と記していたことが確認されました。

さらに、筆跡資料との照合により、今回の2曲の写譜がヨーンの手によるものと認定され、作品の成立年代および背景が一挙に明らかになったとリリースは伝えています。こうした連鎖的証拠により、2曲はJ.S.バッハの作品として正式に認められ、BWV目録には新たに2つの番号が加えられることになりました。

主な調査機関
Bach-Archiv Leipzig(ライプツィヒ・バッハ資料財団)
重要資料
ブリュッセル王立図書館所蔵の筆写譜、1729年の願書、筆跡照合資料
研究プロジェクト
BACH Research Portal(ヴォルニー氏が統括)

本邦初演の舞台と演奏者 — 鈴木雅明がオルガン演奏

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は第169回定期演奏会において、今回新発見と認められたJ.S.バッハのオルガン作品2曲を演奏することを発表しています。演奏は音楽監督・オルガニストの鈴木雅明が担当し、これは本邦初演と見なされます。

演奏会の日時は2025年11月23日(日)15:00、会場は東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアルです。演奏に関する公的なクレジットとしてリリース本文には写真提供者として「(c)Marco Borggreve」との表記が含まれています。

演奏会の位置づけと関連情報

この演奏はバッハ・コレギウム・ジャパンの第169回定期演奏会内で行われ、BCJの継続的な活動の一環として新しい研究成果を紹介する場ともなります。リリースは本邦初演と考えられる点を明示しており、学術的発見がコンサートのレパートリーに直結する例として注目されます。

BCJの演奏会詳細は団体の公式サイトに掲載されています。公演に関する情報や座席に関する案内はBCJの案内ページにて確認できます(https://bachcollegiumjapan.org/schedule/tokyo169/)。

  • 演奏団体:バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)
  • 回次:第169回定期演奏会
  • 演奏者:鈴木雅明(音楽監督・オルガニスト)
  • 日時:2025年11月23日(日)15:00開演
  • 会場:東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

発見の意義と今回の要点まとめ

今回の新発見は、バッハ研究に長年携わってきた機関と研究者の積み重ねが結実したものであり、若きバッハ像に関する理解を豊かにするものです。研究によりBWV目録に2つの番号が追加されたことは、バッハ研究史において重要な出来事と位置づけられます。

以下の表は、このリリースで示された主要な情報を一覧形式で整理したものです。内容を整理することで、発見の経緯、演奏予定、関係機関と資料の所在を一目で把握できます。

項目 内容
発表主 有限会社バッハ・コレギウム・ジャパン(プレスリリース日時:2025年11月20日 21:03)
発見発表機関 Bach-Archiv Leipzig(ライプツィヒ・バッハ資料財団) 発表日:2025年11月17日
発見物 J.S.バッハの未知のオルガン作品2曲(チャコーナ)
作品の特徴 変奏・オスティナートと大規模フーガを結びつける構造、BWV150のチャコーナに類する素材
成立年代(推定) およそ1703年前後(バッハ18歳頃、アルンシュタット赴任前後)
筆写譜の所在 ブリュッセル王立図書館所蔵の筆写譜集
決定的証拠 ザロモン・ギュンター・ヨーンの1729年願書(「1705〜1707年にバッハの弟子だった」との記載)および筆跡照合
研究プロジェクト BACH Research Portal(ヴォルニー氏が統括)
目録への反映 BWV目録に新たに2つの番号が加わる
本邦初演 バッハ・コレギウム・ジャパン第169回定期演奏会にて 鈴木雅明(オルガニスト)演奏 日時:2025年11月23日 15:00 会場:東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル
関連リンク ライプツィヒ・バッハ資料財団の告知:https://www.bacharchivleipzig.de/en/bach-archiv/newly-discovered-organ-works-johann-sebastian-bach
BCJ公演案内:https://bachcollegiumjapan.org/schedule/tokyo169/
写真クレジット (c)Marco Borggreve

以上が発表内容の要点と整理です。今回の発見は史料学的な裏付けと演奏の場が直接結びつく例であり、学術研究と演奏活動が相互に補完しながら新たな音楽的理解をもたらす事例として位置づけられます。

参考リンク: