RYODENで運用開始:生成AI読解システムCataReru

CataReru運用開始

開催日:10月1日

CataReru運用開始
CataReruって何で誰が使えるの?
CataReruは生成AIとRAGを組み合わせたマニュアル読解支援システム。新潟人工知能研究所とRYODEN等が共同開発し、2025年10月からまずRYODEN社内で運用中です。
導入すると現場はどう変わるの?
膨大なマニュアルからAIが最適箇所を検索・引用して回答を生成し、判断速度を向上。熟練者依存を減らし保守・メンテ業務の平準化と生産性向上が期待されます。

製造現場の「経験」をつなぐ新しい読解支援システム:CataReru™の狙い

2025年10月から株式会社RYODENの社内で運用が始まった、生成AIを活用したマニュアル読解RAGシステム「CataReru™(カタレル)」は、現場の知識継承と問い合わせ対応の効率化を目的に共同開発されました。発表はNSGグループの株式会社新潟人工知能研究所によるもので、プレスリリースは2025年11月24日08時00分に配信されています。

本システムは、製造業や保守サービス業で深刻化している熟練技術者の定年退職やノウハウの属人化・散在化に対する対策として設計されています。若手や新任担当者が膨大なマニュアルや過去資料から必要な情報を短時間で取り出すことと、経験者への過度な依存を減らすことの両立を目指しています。

何を解決するのか

製造現場では、設備保全やトラブル対応のノウハウが個人に偏り、情報探索に時間がかかることが課題です。CataReru™はこれらの文書資産をAIが自動で解析し、ユーザーの質問に対して最適な記述箇所を検索・引用して回答を生成します。

これにより、専門性の高い問い合わせにも対応できるようにし、現場の判断速度を上げることを狙います。特に技術営業やメンテナンス支援のように即時性と専門性が求められる領域での利用が想定されています。

技術構成と運用開始の状況:RAGと生成AIの組合せ

CataReru™は、Retrieval Augmented Generation(RAG:検索拡張生成)と生成AIを組み合わせたシステムです。大量のマニュアルや過去の資料を検索可能な知識ベースに変換し、問いに最適な箇所を抽出してからAIが回答文を生成します。引用箇所を明示する運用により、回答の根拠が確認しやすく設計されています。

2025年10月よりRYODEN社内で実運用を開始しており、現在はRYODENにて商標登録出願準備中です。まずは社内導入によるAI回答の品質評価と運用知見の蓄積を進め、そのうえで将来的な社外提供を検討する方針が示されています。

技術的な狙いと機能

  • 文書解析による最適箇所の検索と引用表示
  • 生成AIによる回答生成(根拠の明示を重視)
  • 専門性の高い問い合わせ対応の補助
  • ナレッジの可視化・標準化・共有化による業務平準化

これらの機能は、属人的になりがちな業務を平準化し、労働生産性の向上に寄与すると位置づけられています。導入後は運用データを基に品質改善を続けることが明記されています。

協業の背景と参加各社の役割

本プロジェクトは、株式会社新潟人工知能研究所、株式会社RYODEN、学校法人新潟総合学園 事業創造大学院大学の3者による協業の成果です。協業自体は2024年4月に発表されており、CataReru™はその具体的な実装例として位置づけられています。

それぞれの役割は連携の中で明確化されています。新潟人工知能研究所はAIの研究開発とプロダクト化を担い、RYODENは製造・保守現場のナレッジを提供して実運用での適用を進めました。事業創造大学院大学は産学連携の中で実践的な評価と教育面の知見を提供しています。

関係者のコメント

株式会社新潟人工知能研究所 取締役社長 上坂 高寛
生成AIの実用化は、研究開発の枠を超え、現場での価値創出へと進化しつつあると述べています。本協業を通じて技術を実証から実装へと発展させることができ、今後も連携を深めながら産業課題の解決に貢献する意向を示しています。
株式会社RYODEN 代表取締役社長 富澤 克行
本協業はRYODENの生成AI社会実装を前進させるもので、事業創出会社としての成長を示す重要なステップであると述べています。先進技術を活用して産業や社会の変革を支える新たな価値を創造し、持続可能な社会に寄与することを目指すとしています。
学校法人新潟総合学園 事業創造大学院大学 学長 黒田 達也
本協業は“超”実践型ビジネススクールの産学共同のリーディングケースであり、地方の製造業における知識継承問題の解決に寄与する可能性があると位置づけています。マーケット浸透による地方経済への影響についても学究的に注目しているとのコメントがありました。

導入効果の想定範囲と技術進化の方向性

CataReru™の導入は、単に問い合わせ対応を効率化するだけでなく、ナレッジの可視化・標準化・共有化を同時に進める点が特徴です。特に技術営業やメンテナンス支援の領域では、属人化の抑制と業務の平準化が期待されます。

将来的には、生成AIの精度向上に加えて、画像・動画・図面など複数モードの情報を統合的に理解するマルチモーダルRAG技術の発展を目指しています。これにより製造現場のDX化と知識継承のさらなる支援を図る計画が示されています。

導入後のロードマップ(公表されている方針)

  1. 2025年10月:RYODEN社内での運用開始(現状実施中)。
  2. 社内でのAI回答品質評価および運用知見の蓄積。
  3. 将来的な社外提供の検討。
  4. マルチモーダルRAG技術の研究・実装による対応情報の拡張(画像・動画・図面など)。

上記は発表された方針に基づくロードマップであり、実施状況に応じて調整される可能性があります。

関係各社の概要と連携位置づけ

発表文には各企業・組織の概要も明記されています。以下は公表された事実に基づく要点です。

  • RYODEN:創業1947年。パーパスは「人とテクノロジーをつなぐ力で’ワクワク’をカタチにする」。国内30拠点・海外11カ国と地域を合わせて21拠点、2000社を超えるパートナー企業、2022年度(2023年3月期)連結売上2,603億円、純利益53億円、従業員1,242名(2023年3月末時点)。
  • 事業創造大学院大学:創立19年目の専門職大学院でMBA(経営管理修士)を提供。世界16カ国の大学と交流協定あり。
  • 新潟人工知能研究所:2017年8月設立のNSGグループ傘下ベンチャー。所在地は新潟市中央区米山3-1-46 事業創造大学院大学2F。代表者名:黒田達也。URL:https://www.nai-lab.com/。
  • NSGグループ:教育、医療・福祉・介護を中核とし、多様な事業を展開する101法人からなる企業グループ。グループの目標は地域活性化と地域の豊かさ向上。
項目 内容
プレスリリース配信日時 2025年11月24日 08時00分(NSGグループ発表)
製品名 CataReru™(カタレル)
開発・運用主体 株式会社新潟人工知能研究所、株式会社RYODEN、学校法人新潟総合学園 事業創造大学院大学
運用開始 2025年10月(RYODEN社内での運用開始)
商標 現在、RYODENにて商標登録出願準備中
技術要素 生成AI + Retrieval Augmented Generation(RAG)、将来的にマルチモーダルRAG(画像・動画・図面など)を想定
目的 熟練技術者の知識継承、問い合わせ対応の効率化、ナレッジの可視化・標準化・共有化
将来方針 社内運用での品質評価・知見蓄積後、社外提供を検討。マルチモーダル対応の研究・実装を推進
関連URL https://www.nai-lab.com/(新潟人工知能研究所)

以上の内容は、2025年11月24日に公表されたプレスリリースの全文に基づき整理したものです。本稿は発表された事実と関係者コメントを伝えるものであり、関係各社による公式情報を要約して掲載しています。

参考リンク: