12月1日リニューアルローソン中川野田店で再エネ・蓄電実証
ベストカレンダー編集部
2025年11月28日 18:28
ローソン中川野田店実証
開催日:12月1日
地域店舗を舞台に進める「脱炭素」と「レジリエンス」の両立
愛知県名古屋市のローソン 中川野田二丁目店が、2025年12月1日(予定)にリニューアルオープンするにあたり、再生可能エネルギーの最大活用と災害時の耐性(レジリエンス)強化を同時に実現する実証実験が開始されます。発表は株式会社アイシンをはじめとする5社による共同取り組みとして、2025年11月28日15時12分に公表されました。
この取り組みは、店舗運営に必要な電力をできる限り再エネ由来の電力で賄うだけでなく、電力の需給調整(デマンドレスポンス:DR)への参加や、停電時に店舗機能を維持するための蓄電・給電体制の整備を含めた総合的な実証です。関係する5社は、株式会社アイシン、MCリテールエナジー株式会社、中部電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社、株式会社ローソンです。
実施内容の詳細:発電・蓄電・省エネ・停電対応の仕組み
本店舗では屋根上設置型やカーポート一体型の太陽光発電設備、店舗窓枠への設置など、複数の発電設備を組み合わせて発電した電力を店舗で消費します。発電量が消費量を上回る場合は、駐車場に設置した蓄電池へ余剰電力を貯め、夜間や必要時に放電して利用します。
店内の冷蔵・冷凍ショーケースにはガラス扉およびアクリル扉を取り付け、省エネルギー化を図ります。これらの施策により、本店舗の年間消費電力量の約14%程度を再エネ由来の電力でまかなうことを目標にしています(※ペロブスカイト太陽電池を除く太陽光発電設備による発電量をもとに算出)。
発電設備と設置スケジュール
導入する太陽光発電設備は複数構成で、屋根上のパネル、カーポート一体型パネル、窓枠等への設置を予定しています。設置工事は12月1日までに完了する予定であり、発電開始は中部経済産業局の許可を受けた後に行われます。
また、アイシンが提供する次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池も採用します。ペロブスカイトは従来のシリコン型に比べて折り曲げに強く軽量であるため、壁面や耐荷重の小さい屋根、小型電子機器への設置が可能という特長を持ち、今回のフィールド実証で設置方法や発電効果を検証します。
蓄電池の役割と停電時対応
設置する蓄電池は平常時は発電と消費のバランス調整、夜間の電力補填に用いられます。加えて、災害などによる停電発生時には蓄電池に貯めた電力を店舗のPOSレジや店内照明、コンセント等の一部設備に給電し、社会インフラとしての店舗機能維持に資する構成です。
この蓄電池は駐車場に設置され、余剰電力の貯蔵と給電を行います。停電時に備えた蓄電・給電の運用手順や電力管理の仕組みも実証対象となります。
電力需給調整(DR)と各社の役割分担
本実証では、再エネの導入拡大に伴い変動する発電量と需要のバランスを調整するため、デマンドレスポンス(DR)を導入します。DRは再エネの出力変動を踏まえ、需要側が電力の使い方を工夫することで需給バランスの維持に貢献する仕組みです。
MCリテールエナジーは、蓄電池の充放電を遠隔で高精度かつ高速に制御するシステムを提供し、店舗従業員による機器操作なしでDRに対応できる運用を目指します。これにより、需要家である店舗が市場(需給調整市場、容量市場等)に参加しやすくなることが期待されます。
各社の具体的な役割
- アイシン:ペロブスカイト太陽電池の提供・取付、設置方法の検証および発電効果検証等を中部電力と共同で実施。
- MCリテールエナジー:蓄電池の遠隔制御を通じたDRへの活用(需給調整市場、容量市場への参加)。
- 中部電力:アイシンと共同でペロブスカイト太陽電池のフィールド実証を実施(取付、設置方法検証、発電効果検証等)。
- 中部電力ミライズ:本取り組みの企画・支援・効果検証を担当。
- ローソン:屋根上設置型・カーポート一体型の太陽光発電設備および蓄電池の設置・保守を実施。
これら5社の分担により、技術検証と運用検証の両面で実効性のあるデータ取得を行い、実証結果を今後の普及や施策に繋げることが目標とされています。
技術的特性、運用上の留意点、制度面の位置づけ
ペロブスカイト太陽電池は折り曲げに強く軽量であるため、従来シリコン型では設置が困難だった場所にも展開できる可能性を持ちます。これにより、都市環境や既存建物への導入の選択肢が広がる点が注目されています。
ただし、今回の実証ではペロブスカイト太陽電池の発電量は14%試算から除外している点に留意が必要です。まずは従来型の太陽光設備による再エネ量を基準に評価を行い、ペロブスカイトについてはフィールド実証で設置方法や発電効果を詳細に分析します。
制度・手続きに関する注記
- 発電開始の条件
- 太陽光発電設備は12月1日までに設置工事を完了した後、中部経済産業局の許可を受けて発電を開始する予定です。
- 需給調整の背景
- 電力は大量に貯めることが難しいため、電気の使用量(需要)と発電量(供給)を常に一致させる必要があり、DRはその調整手段の一つです。
これらの点を踏まえ、技術的検証と制度手続き双方の整備を進めることが不可欠です。実証結果は、今後の更なる再エネ導入や分散型エネルギー資源の運用に関する示唆を与える可能性があります。
実証の狙いと要点の整理
本取り組みの主要な狙いは次の通りです。第一に、常時の店舗運営におけるCO₂排出量の削減です。第二に、再エネの導入拡大に伴う電力需給の変動に対応するための実践的なDRの導入と運用検証です。第三に、災害時における店舗の機能維持(POSレジや照明、コンセントの利用確保)を通じたレジリエンスの強化です。
以下に、本記事で触れた主要項目を表形式で整理します。これにより、取り組みの構成要素、時期、関係者、それぞれの役割や留意点を明確に確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店舗名・所在地 | ローソン 中川野田二丁目店(愛知県名古屋市) |
| リニューアルオープン | 2025年12月1日(予定) |
| 発表日 | 2025年11月28日 15時12分(株式会社アイシン発表) |
| 参加企業 | 株式会社アイシン、MCリテールエナジー株式会社、中部電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社、株式会社ローソン |
| 主な目的 | 再エネ最大活用によるCO₂削減、電力需給調整(DR)参加、災害時の店舗機能維持(レジリエンス強化) |
| 導入技術 | 屋根上・カーポート一体型太陽光発電、窓枠設置型発電、ペロブスカイト太陽電池、駐車場設置蓄電池、ショーケース用ガラス・アクリル扉 |
| 期待される再エネ比率 | 年間消費電力量の約14%程度(※ペロブスカイトを除く太陽光発電設備による算出) |
| DRの役割 | MCリテールエナジーによる蓄電池の遠隔充放電制御で需給バランス調整、市場(需給調整市場・容量市場)への活用を想定 |
| 停電時の対応 | 蓄電池からPOSレジ・店内照明・コンセント等へ給電し、社会インフラとしての最低限の機能を維持 |
| 注意事項 | 太陽光発電設備は設置工事完了後に中部経済産業局の許可を受けて発電開始。ペロブスカイトはフィールド実証で設置方法・発電効果を検証 |
| 参考リンク | https://www.aisin.com/jp/ |
本実証は、地域に根ざした小規模店舗を対象に、再エネの最大活用と地域インフラの持続性を高めるための具体的な運用モデルを検証する試みです。導入技術と運用手順、制度的な手続きに関する検証結果は、将来的な展開や他拠点での展開を検討するための重要なデータを提供することが期待されます。
参考リンク: