ラントリップ1.9億円調達、睡眠×運動でヘルス展開
ベストカレンダー編集部
2025年12月1日 09:42
資金調達でヘルス展開
開催日:12月1日
ラントリップが1.9億円を調達、ランニング領域からヘルスケアへ本格展開
ランニングアプリ「Runtrip」を運営する株式会社ラントリップ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:大森 英一郎)は、PARAMOUNT BED Healthcare Fund、やまと社会インパクトファンド、三菱UFJキャピタル10号投資事業有限責任組合ならびに個人投資家等を引受先とした第三者割当増資により、総額1.9億円の資金調達を完了しました。プレスリリースは2025年12月1日 07時00分に発表されています。
今回の調達により、ラントリップの累計調達額は約6.3億円となります。ラウンドで得た資金は人材採用と開発体制の強化に充てられ、創業以来掲げてきたミッション「もっと自由に、楽しく走れる世界」の実現を基点に、ランニングという日常的な運動習慣を起点としたウェルビーイングやヘルスケア領域への事業拡張を進める方針が示されました。
調達の詳細と出資先
今回の第三者割当増資の引受先は以下の通りです。主要なリード投資家にはPARAMOUNT BED Healthcare Fundが含まれ、やまと社会インパクトファンド、三菱UFJキャピタル10号投資事業有限責任組合、加えて複数の個人投資家が参加しています。
ラウンドを通じた資金使途として明確に示されているのは、事業拡大に向けた人材採用の本格化と、開発体制の強化です。これらはアプリ・プロダクト面とチーム強化の両面での投資を意味します。
健康インパクトを意識した事業戦略:運動×睡眠、地域への働きかけ
ラントリップは2015年創業以来、アプリ・メディア・イベント・ECを通じて国内最大級のランニングプラットフォームを構築してきました。現在は日本のランニング人口の約4割に相当する年間400万人(※2)にリーチしており、ランニングを軸にした独自のコミュニティとデータ基盤を強みに事業を拡大しています。
今回の資金調達を契機に、従来の「ランニング領域」から「ウェルネス/ヘルスケア領域」への事業領域拡張が明確に打ち出されました。とくにPARAMOUNT BED Healthcare Fundを通じたパラマウントベッド株式会社との連携により、「運動」と「睡眠」を掛け合わせたサービス・商品の共同開発が想定されています。
健康効果と社会的意義の根拠
ラントリップは、人生100年時代における予防医療やウェルビーイングの重要性に着目しています。国土交通省の試算を引用し、「1日あたり1,500歩多く歩くだけで年間約3万5,000円の医療費抑制効果がある(※1)」というデータを参照し、日常的な運動習慣が健康寿命や医療費に与える影響を事業的根拠としています。
やまと社会インパクトファンドからの出資を通じては、事業がもたらす社会的インパクトの可視化にも注力するとしています。地域でのランニングイベントを起点としたコミュニティ形成や地域活性化といったソフト面の観光資源創出、参加者の行動変容や健康指標の定量的評価を行い、公表していく方針です。
クラブチーム型組織と採用拡大:STAFFとPRO PLAYERSの役割
ラントリップは「クラブチーム型組織」という独自の採用・組織モデルを推進しています。このモデルでは、正社員(STAFF)を“チームを支えるスタッフ”、複業・業務委託メンバーを“プロ契約選手(PRO PLAYERS)”と位置づけ、各メンバーが自らの強みを発揮してチーム全体のパフォーマンスを高める仕組みです。
この組織運営を基盤に、今回の調達を契機に採用を大幅に拡大します。募集対象は正社員・副業・フリーランスを問わず、「ランニングを通じて社会をより良くしたい」といったパーパスに共感する多様な人材で、チーム力を次のステージへ引き上げることを目指しています。
採用情報と参加形態
PRO PLAYERSに関する情報はコーポレートサイトで公開されています。業務委託や副業で参画するメンバーは、専門性を活かした役割分担によりプロジェクトごとに貢献する設計です。採用拡大は、プロダクト開発やコミュニティ運営、データ分析・研究など多岐にわたる分野で行われます。
参画を希望する候補者は、社外リソースを活かしながらラントリップという“チーム”の一員として動くことが期待されています。具体的な募集要項や参画方法は以下のコーポレートページで確認できます。
出資者と代表の言葉、Runtripの現状と事業領域
本リリースには出資者各社および代表からのコメントが含まれています。出資者は事業性と社会的意義の双方を評価しており、パートナー連携による具体的な協業期待も示されています。
出資者の主なコメントは次の通りです。ここでは原文の要旨を含めて紹介します。
出資者コメント(要旨)
- パラマウントベッド株式会社 健康事業部 Active Sleep事業責任者 山口 弘志 氏
- 当社は医療・介護・健康に関する事業を国内外で展開しており、「睡眠・運動・食事」は健康的な生活に不可欠な要素と認識している。ラントリップはランニングを通じて運動習慣を取り入れるコミュニティと専門性を築いており、睡眠を中心とした事業を展開する当社との親和性は高い。両社の強みを掛け合わせることで包括的な健康価値を提供し、幅広い世代のウェルビーイング向上に貢献できると確信している。
- やまと社会インパクト投資事業有限責任組合(無限責任組合員 南都キャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長 堺 敦行 氏、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ 代表取締役 青木 武士 氏)
- やまと地域の社会課題解決をはかるインパクト投資を行っている。奈良県では滞在時間の短さが観光資源の低迷要因であり、ラントリップのランニングイベントにより外部からの参加者が地域を訪れ、地元ランナーと交流することで新たなコミュニティが生まれ、文化財等に頼らないソフト面の観光資源創出につながることを期待している。
- 三菱UFJキャピタル株式会社 投資第三部 次長 大辻 允人 氏
- ラントリップは「走ること」を人と社会をつなぐ文化として再構築し、ウェルビーイングを拡張している。醸成されるコミュニティは走る喜びを共有する人々の熱量に溢れ、社会にポジティブな循環をもたらす。MUFGグループの知見とつながりを生かし、目指す世界を共に描く挑戦者として新しい価値と文化の創出に取り組む。
代表コメント(大森 英一郎 氏)
代表の大森氏は、創業以来の想い「もっと自由に、楽しく走れる世界へ。」を改めて示し、ランニングを通じた行動変容を社会的健康課題の解決につなげる意義を語っています。今回の調達は“楽しさを起点とした行動変容”を社会の健康課題解決に拡張するための重要な一歩であると述べています。
また、PARAMOUNT BED Healthcare Fundとの協業により「運動×睡眠」という生活習慣領域を横断する取り組み、やまと社会インパクトファンドとの連携で地域と人のつながりによる社会的インパクトの可視化、三菱UFJキャピタルとの連携で金融・企業ネットワークを活かした事業共創基盤の強化を進める意向を示しています。最終的な目標は、テクノロジーではなく“楽しさ”で人々の行動を促し、すべての人が運動を通じて健康で前向きに生きられる世界の実現です。
Runtripの事業概要と会社情報の整理
Runtrip(ラントリップ)は国内最大級のランナー向け総合アプリを中核に、メディア、イベント、ECを通じて事業を展開しています。主な特徴として、走ることでリワードを獲得できる「Move to Earn」機能、熱量の高いSNSやD2C機能、業界最高水準の継続率を持つ点が挙げられます。
まちづくり×ウェルビーイングのプロジェクトとして「Runtrip BASE YOYOGI PARK」なども展開し、ランニングを起点とした新しい社会価値づくりに取り組んでいます。以下に本記事で触れた主要情報を表形式で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年12月1日 07時00分 |
| 調達額(今回) | 総額 1.9億円(第三者割当増資) |
| 累計調達額 | 約 6.3億円 |
| 主な引受先 | PARAMOUNT BED Healthcare Fund、やまと社会インパクトファンド、三菱UFJキャピタル10号投資事業有限責任組合、個人投資家等 |
| 資金使途 | 人材採用の拡大、開発体制の強化 |
| 事業方針 | ランニングを起点にしたウェルビーイング/ヘルスケア領域への事業拡張(運動×睡眠のサービス開発、社会的インパクトの可視化等) |
| 到達リーチ | 年間400万人(日本のランニング人口の約4割、2024年/App Ape調べ) |
| 組織モデル | クラブチーム型組織(STAFF:正社員、PRO PLAYERS:複業・業務委託) |
| 代表者 | 代表取締役 大森 英一郎 |
| 設立 | 2015年5月 |
| 所在地 | 東京都渋谷区桜丘町23番17号 シティコート桜丘408 |
| 事業内容 | ランニングアプリ・メディア・EC・イベントの企画運営 |
| URL | https://runtrip.jp |
本稿では発表された資金調達の事実、その背景にある社会的意義、事業展開の方向性、組織モデルと採用戦略、出資者や代表の具体的なコメント、そしてRuntripが現在展開するサービスの特徴を整理して記載しました。今回の動きは、ランニングを核としたプラットフォームがウェルビーイングや予防医療領域と連携する典型的な事例として注目されます。
なお、本文中の数値や出典はプレスリリース記載のとおりであり、健康効果の数値は国土交通省の調査研究(※1)、ランニング人口のリーチ数値は2024年のApp Ape調査(※2)をそれぞれ参照しています。
参考リンク: