弁護士×AIで広告チェック、AI AD CHECK「SOLEIL VIEW」発表
ベストカレンダー編集部
2025年12月1日 14:26
SOLEIL VIEW発表
開催日:12月1日
弁護士の知見を組み込んだ協調型AI『AI AD CHECK “SOLEIL VIEW”』とは
株式会社MSCは2025年12月1日10時10分に、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の監修を基盤に開発された広告審査システム、AI AD CHECK “SOLEIL VIEW(ソレイユビュー)”を発表しました。本システムは、法務担当者や広告担当者が日常的に直面する確認作業の負担を軽減しつつ、広告表現の法令遵守をより確実にすることを目指した次世代型の広告審査プラットフォームです。
SOLEIL VIEWは、化粧品と健康食品の広告表現を主な審査対象とし、薬機法(薬事法)・景品表示法・食品表示法・化粧品等の適正広告ガイドラインなど複数の法令を横断的に解析します。弁護士の実務で蓄積されたノウハウをAIに学習させ、AIによる自動検知と弁護士による最終レビューを組み合わせる二重チェック体制で運用する点が本システムの中核です。
発表の背景と必要性
ここ数年、健康食品や化粧品の広告表現をめぐる法的規制と社会的な目はますます厳格化しています。法律やガイドラインが複数重なり、わずかな表現差が行政指導や措置命令につながり得るため、企業は「どこまで伝えてよいか」を慎重に判断する必要があります。
こうした状況下で、丸の内ソレイユ法律事務所は2016年以降に蓄積した広告審査ノウハウをもとにAI化の研究を進め、2024年10月の技術発表以降のAI技術の急速な進化を踏まえて内部構造を再設計しました。この取り組みが今回の“第二段階”に相当します。
技術基盤と審査フローの詳細
SOLEIL VIEWは複数の技術要素を連携させた構成です。ユーザーが広告データ(テキスト、PDF、画像)をアップロードすると、内蔵のOCRが文字情報を抽出し、協調型AIが法令リスクを検知します。AIの出力は弁護士によるレビューを経て最終レポートとして出力されます。
審査対象はテキスト情報のみであり、画像のデザインや構図自体は解析対象外です。OCRで抽出したテキストを基に薬機法・景表法・食品表示法・化粧品等の適正広告ガイドライン等を参照し、該当箇所を特定、審査レポートを自動生成します。
採用技術と運用環境
- 大規模言語モデル(LLM):Anthropic社製のClaudeを採用。法的文脈理解に優れた自然言語処理性能を活用しています。
- インフラ環境:AWS(Amazon Web Services)を利用し、セキュリティ・拡張性・可用性を確保しています。
- OCR機能:PDFや画像から文字を抽出し、テキストベースでの解析を可能にします(画像のビジュアル解析は対象外)。
- AI再学習・強化学習:法改正やガイドライン改訂に応じて弁護士による審査データのみを学習素材として定期的に再学習・強化学習を実施します。
これらの技術を組み合わせることで、AIが一次審査でリスク箇所を抽出し、弁護士が最終的な法的判断を与える協調型の運用が実現されています。
審査レポートの構成と業務での使い方
出力される審査レポートは、実務で活用しやすい形式で情報を整理して提示します。企業の法務担当者や広告担当者が「なぜ問題と判断されたか」「どう修正すればよいか」を具体的に理解できるよう、AIと弁護士の視点を併記した構成になっています。
レポートはAIによる指摘と弁護士の最終確認結果を反映した二層構造で、審査スピードと正確性のバランスを取ることを目的としています。これにより、内部での改善や再発防止策作成に直接結びつく運用が可能です。
- AI AD CHECK “SOLEIL VIEW”のレポートに含まれる主な項目
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- 指摘箇所:問題がある可能性のある具体的な文言・表現を示します。
- 指摘レベル:☆、★、★★、★★★ の4段階でリスクを評価(星が多いほどリスクが高い)。
- 法令違反の可能性:薬機法・景表法など、該当する法律やガイドラインを明示します。
- 修正案:リスクを回避するための代替表現を提案します。
- 判定根拠:AIが判断に至った理由と関連法令の条文・事例を提示します。
この構成により、単に問題の有無を示すだけでなく、問題の根拠と具体的な対応策まで提示する点が特徴です。実務での運用においては、AIが示した修正案を基に社内調整を行い、弁護士の確認を受けた後に広告を公開する業務フローが想定されています。
開発体制、提供フェーズ、関連組織の役割
SOLEIL VIEWの基盤となる広告審査ノウハウは、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所が2016年以降に蓄積してきたものです。具体的にはA4換算で1,000枚超・指摘箇所1万件以上に上る審査実績をデータ化して学習資源としています。
システム開発の実務面は株式会社船井総合研究所が担当し、データ構造の再設計からAIモデルの実装、運用基盤の整備までを行いました。これにより、弁護士の実務データを忠実に反映した安全なAI運用が可能になっています。
提供フェーズと運用計画
初期段階では弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所内部での運用を開始し、弁護士による精度検証とAIの再学習・チューニングを行います。再学習に使用するデータは弁護士の審査データのみとし、法的判断を忠実に反映する運用を徹底します。
内部検証が完了した後は、顧問企業向けに公開する計画です。公開後も定期的な学習更新と法改正対応を継続し、運用を重ねるほど実務に即した判断精度を高める仕組みを維持します。
関連組織の紹介
- 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所:2009年創業、2016年にヘルス&ビューティーチームを結成。広告審査に強い弁護士が多数在籍し、展示会でのセミナー開催や企業への法的サポート実績があります。コーポレートサイト:https://maru-soleil.jp、業界向けサイト:https://health-beauty-soleil.jp
- 株式会社船井総合研究所:中堅・中小企業向けの経営コンサルティング大手。AIシステムの実装と運用基盤整備を担当しました。公式サイト:https://www.funaisoken.co.jp/
- 株式会社MSC(開発主体、発表者):所在地 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビルヂング4F、代表取締役 中里 妃沙子。お問い合わせ先は office@masu-soleil.jp(弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所宛)。
審査対象、主な機能と導入メリットの整理
SOLEIL VIEWは主に健康食品および化粧品に関する広告表現を対象とします。AIが薬機法や景表法など複数法令を横断的に解析し、法令違反の恐れがある表現やリスクのある文言を抽出します。
さらに、機能性表示食品・医薬部外品・特定保健用食品(トクホ)など承認や届出を行っている商品については、あらかじめ承認範囲を設定しておくことでAIが該当部分を自動除外してチェックする機能があります。これにより、承認済みの表現を誤って指摘するリスクを軽減できます。
- 主な機能:OCRによる文字抽出、LLMによる法的文脈解析、二重チェック体制、承認済商品の除外設定、実務レベルのレポート生成。
- 導入メリット:法令遵守の精度向上、審査スピードの改善、社内での修正作業の効率化、弁護士による最終確認を含む安全な運用。
以下に本記事で扱ったソレイユビューの主要ポイントを表として整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表者 | 株式会社MSC(代表取締役:中里 妃沙子) |
| 発表日時 | 2025年12月1日 10:10 |
| システム名 | AI AD CHECK “SOLEIL VIEW” |
| 主な審査対象 | 健康食品、化粧品(テキスト情報のみ。画像のデザイン解析は対象外) |
| 主な法令 | 薬機法、景品表示法、食品表示法、化粧品等の適正広告ガイドライン |
| 採用技術 | LLM:Claude(Anthropic)、インフラ:AWS、OCR機能、AI再学習・強化学習 |
| 開発協力 | 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所(ノウハウ提供・監修)、株式会社船井総合研究所(AI実装・開発) |
| レポート項目 | 指摘箇所、指摘レベル(☆〜★★★)、法令違反の可能性、修正案、判定根拠 |
| 運用フェーズ | まず丸の内ソレイユ法律事務所内で運用・精度検証を実施後、顧問企業向けに公開 |
| データ学習方針 | 再学習は弁護士による審査データのみを利用。法改正対応を含む定期的な強化学習を実施 |
| 問い合わせ | office@masu-soleil.jp |
本稿では、株式会社MSCが発表したAI AD CHECK “SOLEIL VIEW”の目的、技術構成、審査フロー、開発体制、提供フェーズ、出力されるレポートの内容など、プレスリリースに含まれる情報を網羅的に整理しました。企業の法務・広告担当者にとっては、法令遵守を高精度で支援するツールとして導入検討の判断材料となる内容が揃っています。