アイシン、舞鶴港でグリーン水素実証 ペロブスカイトとSOFCを提供

舞鶴港グリーン水素実証

開催期間:12月1日〜2月27日

舞鶴港グリーン水素実証
この実証で何をするの?
太陽光(既設設備+ペロブスカイト)で発電して水を電気分解→生成したグリーン水素を貯蔵→SOFCで再発電し港湾照明などへの給電と防災利用の有効性を現地で検証します。
ペロブスカイトとSOFCって本当に使えるの?
ペロブスカイトは薄型で設置柔軟性が高く、提供するSOFCは純水素10kW級で発電効率60%以上を目標に実用性・耐久性・長期連続運転を港湾環境で検証します。

舞鶴港国際埠頭で開始されるグリーン水素の現地実証――事業期間と参画体制

株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:吉田守孝)は、京都府が舞鶴港国際埠頭で実施する「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」(期間:2025年12月1日~2026年2月27日)に参画します。プレスリリースは2025年12月1日10時14分に発出されました。事業全体は株式会社エノア(本社:愛知県豊田市、代表取締役:青野文昭、以下エノア)が受託し、アイシンはエノアと連携して実証に取り組みます。

本実証は、再生可能エネルギー由来のグリーン水素の製造・貯蔵・発電を港湾環境で一連のシステムとして運用・検証することを目的としています。実証の運用管理は、気象観測機能を有するエネルギーマネジメントシステム(エノア)が行い、現地での安定稼働とデータ収集を担います。

発表日
2025年12月1日 10:14
実証期間
2025年12月1日~2026年2月27日
実施場所
京都府 舞鶴港国際埠頭
受託事業者
株式会社エノア(本社:愛知県豊田市、代表取締役:青野文昭)
参画企業
株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:吉田守孝)
アイシン、京都府の「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」に参加~ペロブスカイト太陽電池および純水素燃料電池を提供~ 画像 2

技術提供の中核:ペロブスカイト太陽電池と純水素SOFCの役割

アイシンは本実証に対して、ペロブスカイト太陽電池と新たに開発した純水素を燃料とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)を提供します。これらは現地での電力創出から水素生成、貯蔵、再発電までの一連のプロセスに組み込まれ、港湾施設の照明等への電力供給に活用されます。

実証のフローは次のとおりです:既設の太陽光発電設備およびアイシンのペロブスカイト太陽電池で生成した電気を水電解装置および周辺機器に供給→生成された水素を水素タンクに貯蔵→貯蔵した水素をアイシンのSOFCで発電→港湾施設の照明等へ電力供給。長期貯蔵が可能な水素の特性を活かし、防災用途としての有効性を検証します。

アイシン、京都府の「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」に参加~ペロブスカイト太陽電池および純水素燃料電池を提供~ 画像 3

ペロブスカイト太陽電池の特性と現地での検証項目

ペロブスカイト太陽電池は薄型・軽量・曲げられることが特徴の次世代型太陽電池です。建物の壁面や耐荷重に制限のある屋根など、従来のシリコン太陽電池が設置困難な場所にも適用可能で、再生可能エネルギーの導入拡大に寄与する点が期待されています。

アイシンは20年以上にわたる有機系太陽電池の研究開発で得たノウハウを活かし、高い発電効率を目指すとともに、薄ガラスを用いた独自フィルム構造で耐久性向上も図っています。湾港環境での稼働状態の確認や風雨・塩害など港湾特有の環境影響に関する実地データの取得が主な検証項目です。

  • 採用技術のベース:NEDO助成事業(JPNP21052)の成果を活用
  • 検証項目:発電効率、耐久性(薄ガラス・フィルム構造)、設置適合性(壁面・軽量屋根等)
  • 設置場所:舞鶴港国際埠頭の既設設備へのアタッチメント等を含む設置・運用

純水素SOFC(固体酸化物形燃料電池)の仕様と期待される性能

SOFCは水素と酸素の化学反応を利用して発電する方式で、発電時にCO2を排出せず、一般に高い発電効率を得られるクリーンなエネルギーシステムです。アイシンは家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファームtype S」の開発・製造で培った熱マネジメント技術や燃料利用率向上技術をSOFCに応用しています。

実証対象のSOFCは純水素発電の10kW級であり、現地での長期の定格連続運転や高耐久性の確認、熱管理や燃料利用率の実務的評価を行います。環境省の支援事業の成果も活用しており、地域での実用性を重視した検証が行われます。

機能 純水素発電(10kW級)
発電効率 60%以上
本体寸法 W1,700×D780×H1,800
技術的背景 エネファームtype Sでの熱マネジメント・燃料利用率向上技術の展開
支援・活用された公的事業 環境省の地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業の成果を活用

現地運用管理と検証で注目される点

本実証では、エノアが提供する気象観測付きエネルギーマネジメントシステムが運用管理を担当します。気象観測データと発電・電力消費・水素生成・貯蔵・発電の各データを連携させることで、現場での最適運用手法の検討や、実運用時に予測される制約の抽出が可能となります。

港湾施設の照明等への電力供給という具体的な負荷への適用を通じ、長期貯蔵が可能な水素を用いた災害時の電力確保や、平常時の再生可能エネルギー利活用の両面で有効性を評価します。実地データによっては、今後の地域防災計画や気候影響評価のための基礎資料も得られます。

  1. 気象観測と連携したエネルギーマネジメント:発電予測と水素生成計画の連動
  2. 水素貯蔵量とSOFC稼働による電力供給シミュレーション:防災時の持続時間評価
  3. 設備の耐久性評価:ペロブスカイト太陽電池とSOFCの港湾環境下での長期挙動

関連情報と重要ポイントの整理

プレスリリースに記載された関連リンクや背景情報も本実証の理解を深める資料です。アイシンのペロブスカイト太陽電池はNEDO助成事業(JPNP21052)の成果を活用しており、社会実装に向けた取り組みが段階的に進められています。また、環境省の採択事例として地域水素利活用を推進する純水素SOFCシステムに関する取り組みも公的支援を受けている点が強調されています。

以下の一覧は本プレスリリースに含まれる関連情報、キーワード、カテゴリを整理したものです。これらは本実証の背景や関係者、技術的基盤を把握するうえで参照可能な要素です。

  • 関連リンク:https://www.aisin.com/jp/
  • 関連ニュースリリース(プレス内リンク)
    • 次世代型太陽電池と水素の利活用の実証事業(京都府ニュースリリース)
    • 【5分でわかる】塗って発電!?ペロブスカイト型太陽電池とは(アイシン公式オウンドメディア)
    • ペロブスカイト太陽電池普及拡大プロジェクトの支援選定(2025年1月15日ニュースリリース)
    • 安城工場での社内実証開始(2025年3月31日ニュースリリース)
    • 環境省の採択(2023年10月27日ニュースリリース)
  • キーワード:アイシン、京都府、エノア、舞鶴港国際埠頭、ローソン、ペロブスカイト太陽電池
  • カテゴリ:自動車・カー用品、交通・運送・引越し
項目 内容
発表企業 株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:吉田守孝)
受託事業者 株式会社エノア(本社:愛知県豊田市、代表取締役:青野文昭)
実施場所 京都府 舞鶴港国際埠頭
実施期間 2025年12月1日~2026年2月27日
提供技術 ペロブスカイト太陽電池(NEDO成果活用)、純水素SOFC(環境省事業の成果活用)
SOFC仕様 純水素発電(10kW級)、発電効率60%以上、本体寸法 W1,700×D780×H1,800
運用管理 気象観測付きエネルギーマネジメントシステム(エノア)
主な検証項目 ペロブスカイトの耐久性・発電効率、SOFCの高効率発電・耐久性・長期定格運転、システム全体の防災用途での有効性
関連リンク https://www.aisin.com/jp/

上記の表は本実証で発表されている主要な事実と仕様、運用体制を整理したものである。実証は2025年12月1日に開始され、2026年2月27日までの運用を通じて、再生可能エネルギー由来のグリーン水素の製造・貯蔵・再発電という一連の工程が港湾環境でどのように機能するかが評価される。関係する研究助成や公的支援の成果を活用する点も明示されており、技術の社会実装に向けたデータ収集と運用ノウハウの蓄積が本実証の主要な目的となる。

参考リンク: