ゲーム音楽の舞台裏を追う　22人の証言、12月刊

ピコピコサウンドから現在までをつなぐ22人の証言

株式会社グラフィック社は、書籍『名曲の生まれた舞台裏　ゲーム音楽で世界を拡げる人たち』を2025年12月に刊行する。発表は同社のリリースで、リリース日時は2025年12月2日12時00分とされている。本書は、チップ音源が主流だった時代からストリーミングやサンプリングが普通になった現代まで、ゲーム音楽の歴史を作ってきた作曲家22人への深掘りインタビューを集めた記録である。

ゲーム音楽がどのようにしてあのメロディや効果音を生んだのか、限られた音数と性能の中でどのように工夫が凝らされたのか、作曲家それぞれの制作哲学や現場エピソードに焦点を当てる。単なる列挙ではなく、制作メモや当時用いられた音源ボードの写真などの一次資料を豊富に掲載する点も、本書の特徴として強調されている。

対象となる作曲家と代表作の一覧

本書に登場する作曲家22人と、それぞれの代表作は書籍で名前と作品が明記されている。インタビューは作曲の背景や制作プロセス、当時の技術制約とその克服法、そしてゲーム音楽というジャンルに対する考え方までを網羅的に扱う。

以下に書籍で紹介される作曲家と代表作を列挙する。記事本文ではこれらの名前を基に、時代ごとの流れやプラットフォーム別の違いも整理している。

• 岩垂徳行 — 『LUNAR ザ・シルバースター』
• 上村建也 — 『究極TIGER』
• 川口博史 — 『セガソニック・ザ・ヘッジホッグ』
• 川元義徳 — 『太鼓の達人』
• 菊田裕樹 — 『聖剣伝説２』
• 国本剛章 — 『迷宮組曲』
• 慶野由利子 — 『ゼビウス』
• 桜庭統 — 『テイルズ・オブ』シリーズ
• 佐宗綾子 — 『リッジレーサー』
• 佐藤豪 — 『雷電II』
• 佐藤哲郎 — 『サイヴァリア』
• 竹ノ内裕治 — 『ダークソウル』
• なるけみちこ — 『ワイルドアームズ』シリーズ
• 新田忠弘 — 『Xak』
• 藤田晴美 — 『ロックマン３』
• 古川典裕 — 『電車でGo!』
• 細江慎治 — 『ビートマニア2DX』シリーズ
• 細井そうし — 『ソニックウィングス２』
• 増子津可燦 — 『女神転生』シリーズ
• 三橋正邦 — 『シルフィード』
• 弓削雅稔 — 『TATSUJIN』
• ヨナオケイシ — 『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』

作曲環境と技術的制約への対応

本書では、作曲家たちが直面した音域やメモリ、再生系の制約と、それに対するクリエイティブな解決策を詳細に扱っている。チップ音源の特性を理解し、その限界を逆手に取って印象的なメロディや音色を作り出した具体的な手法が語られる。

楽曲リストや作曲メモ、音源ボードの写真などの資料を合わせて掲載することで、楽曲がどのように生まれ、どのように実装されたかを一次資料から追体験できる構成になっている。これによりファンや現役・志望のクリエイターにとっての教材的価値が高められている。

収録資料と目次構成：一次資料の充実と時代別区分

書籍には楽曲リスト、作曲メモ、開発に使用された音源ボードの写真といった貴重な資料が多数収録されている。これらの資料は単なる付録ではなく、インタビュー内容を裏付け、制作過程を視覚的に補強する役割を果たす。

目次（章立て）はプラットフォームや時代の変遷に沿って整理されており、読者は自分の関心に合わせて読み進めることができる構成だ。以下に目次の主要項目を本書の表示どおりに示す。

チップ音源からストリーミングまでの変遷

ゲーム音楽の技術史的な流れを概観する章。制作手法の変化とそれが楽曲表現に及ぼした影響を扱う。

コンシュマーゲーム

国本剛章、増子津可燦、細江慎治＋佐宗綾子、岩垂徳行、菊田裕樹、藤田晴美、大葉浩美、細井そうし、竹ノ内裕治、川元義徳らの仕事を時代順に収録する章。

PC

桜庭統、なるけみちこ、新田忠弘、ヨナオケイシといったPC向けタイトルでの制作実践を扱う章。

アーケードゲーム

弓削雅稔、上村建也、佐藤哲郎、川口博史、慶野由利子、古川典裕、九十九百太郎、清水敏夫、佐藤豪らのアーケード作品に関する章。

資料セクションの意義と利用法

作曲メモや音源ボード写真は、単なる懐古趣味ではなく、当時の技術的制約と創意工夫を後世に伝える教育的資料となる。現代の制作環境と比較することで、技術の進化が表現に与えた影響を可視化できる。

また用語集も収録されており、チップ音源やサンプル処理、MIDIやハードウェア的な仕様に不慣れな読者も理解を深められる配慮がなされている。専門用語の意味や背景を参照しながらインタビューを読み進めることが可能だ。

著者・刊行情報と購入先、問い合わせ先

本書の著者は飴尾拓朗（アメオタクロウ）。編集者・ライターとして過去に『そうだ、ゲームミュージックを聴こう！』（マイクロマガジン社）などの編集・執筆経験がある。今回の書籍でも編集者として取材と構成を担い、ゲーム音楽の文脈と個々の証言を繋げる役割を果たしている。

刊行に関する具体的な書誌情報は以下のとおりで、判型や頁数、定価、ISBNと購入リンクが公表されている。

出版社情報と問い合わせ先

書籍に関する問い合わせ先として、株式会社グラフィック社の連絡先が公開されている。所在地や公式SNSなどの情報も案内されており、発売後の流通や広報に関する窓口が明示されている。

問い合わせ先の詳細は次のとおりである。販売ページやSNSも活用して最新情報が更新されるため、必要な場合は直接公式ページを参照することが案内されている。

発売元

株式会社グラフィック社

所在地

〒102-0073 東京都千代田区九段北1-14-17

ホームページ

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書籍の特徴と読者にとっての価値

本書は単なるインタビュー集ではなく、技術史、制作ノウハウ、一次資料を組み合わせることで、読者が楽曲の成立過程を多面的に理解できるように構成されている。レトロゲームの音源から現在の制作手法までの接続点を示すことで、時代を横断する知見が得られる。

ゲーム音楽ファンはもちろん、現役クリエイターやこれから制作を学ぶ人にとっても参考となる具体的な技術的記述やメモが収録されている点が重要だ。用語集の併載により専門的な記述のハードルも低くされている。

資料的価値の具体例

掲載される作曲メモや音源ボードの写真は、作品単体の理解に留まらず、開発現場のワークフローや当時の制作環境を復元する資料としての価値を持つ。特に8ビット〜16ビット期の制作ノウハウは現代のサウンド制作教育において参照され得る内容である。

楽曲リストは収録曲の出自を明らかにするだけでなく、どのタイトルでどのような技術が用いられたかを整理する材料となる。これらの資料は、楽曲の再評価や学術的な分析、あるいはゲーム音楽の歴史を伝えるアーカイブとしての役割も果たす。

まとめ表

以下の表は、本記事で触れた主要項目を整理したものだ。書籍の基本情報、収録コンテンツ、作曲家一覧、購入および問い合わせ情報を一目で確認できるようにまとめている。

本書は、ゲーム音楽の成り立ちを技術と人の証言から併せて伝える構成となっている。作曲家たちの制作手法や当時の資料を通して、ゲーム音楽がどのように世界を拡げてきたのかを知ることができる一冊として刊行される。