三省堂書店が神田神保町本店を3/19開業へ
ベストカレンダー編集部
2025年12月3日 05:54
三省堂書店神田本店
開催日:3月19日
新たな本の拠点としての再出発 ― 「歩けば、世界がひろがる書店。」
2026年3月19日、老舗書店が新しい本店を神田神保町にオープンすることが発表されました。発表は株式会社三省堂書店および三省リアルティ(本社:千代田区、代表取締役社長 亀井崇雄)によるもので、プレスリリースは2025年12月2日12時38分に公開されています。
新店のコンセプトは「歩けば、世界がひろがる書店。」です。創業145年の節目にあたり、単なる書籍販売の場を越えて、来訪者にとって新たな出会いや人生の転機のきっかけとなる場を目指すという意志が示されました。開店に先立ち、2025年12月1日には日本出版クラブにて説明会が開かれ、出版業界関係者約200名とオンライン視聴者約400名が参加しました。
発表会で示された経緯と当面の準備状況
代表取締役社長の亀井崇雄氏は、2022年の一時閉店以降の道のり、仮店舗での試行錯誤、新本店に向けた準備の焦燥感とともに、開業時における姿は示された計画の一部であることを説明しました。準備は現時点でも継続されており、開業と同時に新たな挑戦が始まるとの見通しが示されています。
説明会では内装設計担当の長谷川豪氏(長谷川豪建築設計事務所代表)とともに全体像が共有され、写真撮影時の登壇者として長谷川氏、亀井氏、糸井重里氏(株式会社ほぼ日代表取締役会長)、中村優子氏の名前が紹介されました(写真は右から長谷川豪氏、亀井崇雄氏、糸井重里氏、中村優子氏)。
名称の意味と神田・神保町という地域性
新しい店舗名は「三省堂書店神田神保町本店」と決定されました。名称に「神田」を冠することには由来があります。1947年の区合併に伴い、神田区内の町名には「神田」を冠称する変更が行われた歴史を踏まえ、神保町という地域名に加えて周辺地域との連携も意識した命名です。
神田神保町エリアは古くから日本の出版文化の中心地として知られており、多くの書店や出版社、学校や予備校が集まる学生街としての側面、またスポーツ用品店や楽器店、老舗の飲食店が混在する独自の商業集積を形成してきました。2025年には海外メディアのランキングで「世界で最もクールな街」として神田神保町が紹介されるなど、国内外からの注目度も高まっています(出典:ロンドン発「タイムアウト」誌のランキング)。
名前に込められた意図と地域連携
「神保町」のブランド性を活かしつつ、「神田」の名を冠することで周辺地域の住民やビジネス、教育機関とも結びつく拠点でありたいという意図が示されました。単に歴史を継承するだけでなく、新たな来訪者層との接点創出を目指す姿勢が強調されています。
地域との連携施策として、神田神保町エリア全体でのイベントやテナント連携が予定されています。こうした施策は、書店単体の魅力を引き上げると同時に街としての活性化をも見据えたものです。
内装設計と館内のランドスケープ
内装コンセプトは長谷川豪氏の設計により、「網羅性と遭遇可能性」を両立させる空間を目指すとされています。長谷川氏は亀井氏の「次世代の新しい書店への挑戦」という宣言に共感し、実店舗の可能性を改めて検討し設計を進めてきたと述べています。
館内のゾーニングは象徴的な名称で表現され、来訪者がどのように空間と出会い、どのような読書体験や偶然の出会いが生まれるかに重点が置かれています。下記に示される各ゾーンは、その意図を伝えるための象徴的なレイヤーです。
ランドスケープ:各フロアのテーマ
設計によって名づけられたゾーンの一部は次の通りです。これらは単なるネーミングではなく、空間設計と導線を通じて来訪者の体験を構築するための指標となります。
- 1階:知の渓谷 — 入り口から深く知識へと誘う導線と展示。
- 2階・3階:探求の洞窟、つながりの岬 — 深い探求を促す書棚配置と、人が交差する場。
- 3階:好奇心の泉 — 発見や偶然の出会いを生む展示や企画棚。
これらのゾーンは来訪者の動線や滞在時間、偶発的な出会いを意図して設計されています。空間は書籍の分類やイベント用途に合わせて柔軟に使われる見込みです。
設計者のコメントと店舗像
長谷川氏は、書店は単に本を並べる場所ではなく、出会いと探求のための空間であるとし、「大型書店の実店舗の可能性」を追求するために設計を重ねてきたと述べています。網羅性(幅広い蔵書)と遭遇可能性(偶然の出会い)を両立させることが重要視されています。
この設計思想は、書店が持つ物質的な側面(モノ)と経験的・関係的な側面(コト)を結び付ける試みでもあります。来訪者が歩くことで世界が広がるというコンセプトは、建築・動線設計の根幹に位置付けられています。
サービス、企画、地域連携の具体策
新店では従来の書籍販売に加え、さまざまな企画やサービスを組み合わせて来訪者との接点を拡張します。仮店舗(小川町)でのトライアルを通じて得た知見が取り入れられ、新たな本の売り方の実践や、オンラインとリアルを連動させる取り組みが予定されています。
以下に、プレスリリースで明示された主要な取り組みを列挙します。これらは開業時点の計画内容として紹介されたもので、店舗運営やプロモーションにおける中核施策です。
- トライアル
- 小川町仮店舗からの試行。新しい本の売り方や顧客接点の実験を継続。
- 企画棚「ようこそ世界の入口へ」
- 未来の読書好き、本屋好きに向けたキュレーション棚。
- オリジナルカフェ「喫茶 ちそう」
- 書店内での飲食と滞在促進を図るカフェスペース。
- 三省堂書店めくる塾
- オンラインイベントを主体に、リアル会場とネット配信の同時開催を予定。
- つながる本棚
- リアルとオウンドメディア両方で展開するプロモーション棚。
- 神保町いちのいちの再開
- オリジナル商品や神保町土産の開発・販売。
- PubteX社BOOKTRAIL
- BOOKTRAIL出版物の流通を可視化するシステム導入。
また、エリア連携として4階テナントに「THE ジャンプショップ 神保町」が開業同時に入居予定であるほか、神保町ブックフェスティバルやPodcast番組「神保町で会いましょう」(配信開始:11月28日)など、地域横断的な施策も用意されています。Podcastの公式サイトURLや新店の公式案内は関連リンクで公開されています。
第二部:特別対談の内容
説明会の第二部では、ゲストに糸井重里氏(株式会社ほぼ日代表取締役会長)を招いた対談が行われ、中村優子氏がファシリテーターを務めました。対談では書店をメディアとして再構築する可能性や、神田という地域の受け入れられ方、書店がもつ偶発性の価値などが議題になりました。
糸井氏は本を「モノ」から「コト」へ転換する視点や、書店の偶然の出会いが生む価値を強調し、亀井氏は「読まない人に読書との関係を少しずつ増やす」ことを新店舗の使命の一つに掲げました。両者の対話は、書店が単なる物販の場を超えた文化的・社会的役割を果たし得ることを示しています。
建物概要・スケジュール・問合せ先
ビルおよび開業に関する具体的数値とスケジュールは以下の通り発表されています。開業日は2026年3月19日、建物竣工は2026年1月の予定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 竣工 | 2026年1月(予定) |
| 開業 | 2026年3月19日 |
| 構造 | 地上13階建、地下0階 |
| 延床面積 | 3,794坪(12,543㎡) |
| フロア構成 | 1〜4階:店舗、5〜13階:オフィステナント(※4階は「THE ジャンプショップ 神保町」) |
| 書籍・雑誌売場面積 | 600坪 |
| 物販(神保町いちのいち等) | 30坪(2階) |
| カフェ | 45坪(3階) |
| イベントスペース | 13坪(3階) |
取材や質問に関する申し込み先として、三省堂書店が指定するフォームが公開されています。取材を希望する場合は指定のフォームより申し込みが必要です(フォームURLはプレスリリースに記載)。
会社情報として、株式会社三省堂書店の所在地は東京都千代田区神田神保町1-1、代表者は亀井崇雄氏です。新店に関する公式情報は公式サイト(関連リンク)にて案内されています。
| 要点まとめ | 内容 |
|---|---|
| 開業日 | 2026年3月19日 |
| 発表日(プレスリリース) | 2025年12月2日 12:38 |
| 発表者 | 株式会社三省堂書店 / 三省リアルティ(代表取締役社長 亀井崇雄) |
| コンセプト | 歩けば、世界がひろがる書店。 |
| 設計 | 長谷川豪(長谷川豪建築設計事務所) |
| 特別対談ゲスト | 糸井重里(株式会社ほぼ日代表取締役会長)、ファシリテーター:中村優子 |
| 主要施策 | 仮店舗トライアル、企画棚「ようこそ世界の入口へ」、喫茶 ちそう、めくる塾、つながる本棚、神保町いちのいち再開、BOOKTRAIL等 |
| ビル規模 | 地上13階建、延床面積3,794坪(12,543㎡) |
| 公式案内 | 関連リンク: https://jinbocho.books-sanseido.co.jp/shop/newstore |
| 取材申込 | 取材・質問フォーム(プレスリリース内にURLを掲載) |
以上が発表された内容の要点です。新本店は長い歴史を持つ三省堂書店の次の章として、物理的な書籍の流通と来訪者の経験を両立させるための設計と施策を備えており、地域との連携やオンラインとオフラインの融合を図る取り組みが具体的に示されています。詳細情報や画像素材、取材申込は公式サイトおよびプレスリリースの案内に従ってください。