ポーラ×三生医薬、柑橘フラボ×ビタミンCで抗酸化解明
ベストカレンダー編集部
2025年12月3日 16:45
フラボ×ビタミンC発表
開催期間:12月3日〜12月5日
フラボノイドとアスコルビン酸の“相乗的抗酸化”──共同研究の狙いと位置付け
三生医薬株式会社(本社:静岡県富士市、代表取締役社長:今村 朗)と株式会社ポーラ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:小林 琢磨)は、フラボノイドとアスコルビン酸(ビタミンC)を組み合わせた複合エキスの抗酸化メカニズムに着目した共同研究を実施しました。本研究は、即効的に発生した活性酸素(ラジカル)を除去する「即効性」と、細胞内の防御力を高める「持続性」を両立させることを目指す点に特徴があります。
研究の成果は第48回日本分子生物学会年会(2025年12月3日〜5日、横浜)でポーラと三生医薬の共同発表として公開されます(演題名:ヒドロキシラジカル消去とNRF2活性化を併せ持つ複合素材の探索、ポスター番号:2P-486)。本記事では、発表資料と三生医薬からのリリース情報をもとに研究の背景、方法、得られた知見、ならびに両社の役割分担を整理して伝えます。
問題意識:皮膚の酸化ストレスに対する二面アプローチ
日常の紫外線や大気汚染により皮膚では活性酸素(ROS)が生成され、くすみや肌機能低下の一因になります。研究では、即効性の高いラジカル消去(例:アスコルビン酸)と、NRF2を介して抗酸化酵素を誘導し細胞の持続的な防御力を高める作用の双方が必要だと判断しました。
この二面性を念頭に、どのような植物由来フラボノイドが即効性のラジカル消去に寄与できるかを探索し、アスコルビン酸と組み合わせたときに細胞レベルでの抗酸化効果が増強されるかを評価しています。
試験設計と実施内容:原料探索から細胞試験までの流れ
本共同研究では、三生医薬がポーラの開発テーマに合わせて編成した「顧客専任チーム」が、原料探索・選定、予備試験、事前検討・条件設定のサポートを行い、ポーラが細胞レベルでの酸化ストレス試験を主導する形で進められました。三生医薬は製造受託を超えた「共創型OEM」として試験設計や技術支援を実施しています。
探索段階では数千種類に及ぶフラボノイドから候補を抽出するため、ラジカル(ヒドロキシラジカル)発生系に各フラボノイドを混合し、ラジカル減少量を比較する試験を実施しました。これによりヒドロキシラジカル除去作用が高いフラボノイド群を特定しています。
原料選定と候補植物
三生医薬の学術チームは、抗酸化作用が高くアスコルビン酸との親和性も期待できる柑橘由来フラボノイド群に注目しました。候補として選定された果実は以下の4種です。
- レモン(Citrus limon)
- ベルガモット(Citrus bergamia)
- じゃばら(Citrus jabara)
- 青みかん(Citrus unshiu)
これらを有望候補とし、植物エキスを作成して予備試験を行った結果、複合エキスの有効性を検証する方向性が確立されました。
主要な実験結果とメカニズムの解明
ポーラが策定した試験プロトコルに基づき、三生医薬は技術面で事前検討や条件設定を支援しました。その結果、植物由来フラボノイドを含む複合エキスとアスコルビン酸の組合せは、単独のアスコルビン酸よりも表皮細胞における抗酸化力を高めることが示されました。
具体的には、表皮細胞に過酸化水素で酸化ストレスを与えた際、複合エキス添加群では他群に比べてROSシグナルが低く、酸化ストレスの発生が抑制されました(発表資料中の図2に示唆)。また、複合エキスはNRF2の核内移行を促進し、NRF2により活性化される抗酸化遺伝子HMOX1の発現が増加しました(発表資料の図5、図6参照)。これらの知見から、複合エキスは即効的なラジカル消去と持続的な細胞内抗酸化応答の両方を兼ね備えることが示されています。
データ取得のポイント(技術支援の成果)
三生医薬が提供した支援は主に以下の3点です。
- 数千種類のフラボノイドから抗酸化性に優れる柑橘由来群を選定したこと。
- イノベーションセンターを中心とした予備試験により、フラボノイドを組み合わせることでアスコルビン酸の持続性が向上する知見を提供したこと。
- ポーラの細胞試験プロトコルに対する事前検討・条件設定で技術的支援を行い、植物エキスとアスコルビン酸の組合せによるROS抑制データの取得に寄与したこと。
なお、図1および図4は著作権の関係上リリースには掲載されていない旨が明記されていますが、発表現場では該当図を参照した上での解説が行われる予定です。
共同体制、発表情報と連絡先
三生医薬は専任チーム制を敷き、企画・開発・学術・品質・生産など各分野のプロフェッショナルを顧客ごとに編成する体制を整えています。常務取締役 研究開発本部長 又平 芳春のコメントによれば、本研究はポーラの研究力と三生医薬の原料探索・技術検証の知見が初期段階から連携した結果として生まれたものであり、OEMの在り方が変化していることを示す事例であるとされています。
発表の詳細は以下の通りです。
- 学会名
- 第48回 日本分子生物学会年会
- 開催日
- 2025年12月3日〜5日(横浜)
- 演題名
- ヒドロキシラジカル消去とNRF2活性化を併せ持つ複合素材の探索
- ポスター番号
- 2P-486
問い合わせ先は三生医薬 広報・アウトリーチ担当 藤作。Email: kenichi.fujisaku@sunsho.co.jp。三生医薬の企業情報として、本社所在地、代表者、設立、資本金、売上、従業員数、事業内容、会社ウェブサイト(https://www.sunsho.co.jp/)は次の通りです。
- 所在地:静岡県富士市厚原1468(本社)
- 代表者:代表取締役社長 今村 朗
- 設立:1993年11月
- 資本金:1億2,338万9千円
- 売上金:286億円(2025年3月期)
- 従業員:830名(2025年4月現在)
- 事業内容:健康食品、医薬品、一般食品、雑貨等の企画・開発・受託製造
共同研究の位置付けに関する補足
本研究の詳細欄には、NRF2の役割(補足資料1)、植物エキス由来果実の学名(補足資料2)、および複合エキスによるNRF2活性化とHMOX1発現増強の結果(補足資料3)が明記されています。研究発表情報は株式会社ポーラから提供されたものである旨も明記されています。
補足資料に基づくと、NRF2は細胞が酸化ストレスに対抗する転写因子であり、その活性化は細胞内抗酸化酵素の産生を促す点が本研究の示すメカニズムの中核です。
発表内容の要点整理(表)
以下に、今回の共同研究で公表された重要事項を表形式で整理します。研究の目的、方法、主要データ、企業連携体制、問い合わせ先などをまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究テーマ | フラボノイドとアスコルビン酸の相乗作用に着目した抗酸化メカニズム研究 |
| 共同研究者 | 三生医薬株式会社(富士市)・株式会社ポーラ(東京都品川区) |
| 発表会 | 第48回 日本分子生物学会年会(2025年12月3日〜5日、横浜) ポスター番号:2P-486 |
| 原料候補 | レモン(Citrus limon)、ベルガモット(Citrus bergamia)、じゃばら(Citrus jabara)、青みかん(Citrus unshiu) |
| 主要手法 | ヒドロキシラジカル除去試験、表皮細胞に対する過酸化水素負荷でのROS測定、NRF2核内移行・HMOX1発現解析 |
| 主な知見 | 植物由来フラボノイドを含む複合エキスとアスコルビン酸の組合せは、アスコルビン酸単独に比べ細胞の抗酸化力を高め、ROS発生を抑制。NRF2の核内移行と抗酸化遺伝子(HMOX1)発現の増強が確認された。 |
| 技術支援 | 三生医薬が原料探索・予備試験・事前検討・条件設定を支援(顧客専任チーム制による伴走) |
| 提供情報の出典 | 本研究の詳細は株式会社ポーラから提供された研究発表情報に基づく。図1、図4はリリースに掲載されていない旨の記載あり。 |
| 問い合わせ | 三生医薬株式会社 広報・アウトリーチ担当 藤作(Email: kenichi.fujisaku@sunsho.co.jp) |
| 三生医薬 会社情報 | 所在地:静岡県富士市厚原1468、代表:今村 朗、設立:1993年11月、資本金:1億2,338万9千円、売上:286億円(2025年3月期)、従業員:830名(2025年4月) |
本記事では、提供されたプレスリリースの全情報を網羅的に整理して提示した。研究はポーラの発表情報に基づいており、学会発表時に示される図表や詳細データを参照することで、より具体的な評価が可能となる。
参考リンク: