中小企業の採用苦と賃上げ格差、CRAYONZ調査が示す現状と対策

賃上げ格差調査結果公開

開催日:12月4日

賃上げ格差調査結果公開
賃上げ格差で本当に人が流出するの?
調査では人材確保に課題がある経営者の約85%が賃上げ格差拡大で将来的な人材流出に危機感を示しています。応募者減少や転職増が既に顕在化しています。
賃金以外で中小ができる現実的な対策は?
経営者は評価制度の整備、組織風土の改善、福利厚生の充実を重視。座学以外の体験型研修で信頼や納得感を育てる取り組みも有効とされています。

賃上げ格差が浮き彫りにする中小企業の人材確保の現状

株式会社CRAYONZが実施した「中小企業における賃上げ格差と人材流出に関する調査」(調査期間:2025年8月20日〜8月22日、調査手法:インターネット調査、調査対象:中小企業の経営者(20代〜60代の男女)、回答者数:574名)では、政府主導の賃上げ要請や物価高を背景に、大企業を中心とした賃上げの動きが中小企業の人材確保に与える影響が具体的な数値として示されました。

本調査の冒頭で尋ねた「人材の確保・定着に課題があるか」という設問では、『はい』が53.4%、『いいえ』が46.6%という結果になり、中小企業の半数以上が人材の確保・定着に何らかの課題を抱えていることが明確になっています。調査は全国の中小企業経営者を対象に行われ、RCリサーチデータのモニターを用いて実施されました。

人材の確保・流出に課題を感じる中小企業経営者の約85%が、賃上げ格差拡大による将来的な人材流出に危機感を抱いていると回答!CRAYONZが「中小企業における賃上げ格差と人材流出に関する調査」を実施! 画像 2

背景と調査実施の意図

政府の賃上げ要請が大企業での賃上げを促し、結果として待遇面での差が顕在化する一方で、日本の雇用の約7割を担う中小企業は資金力や経営体力の差から追随が難しい実情があります。こうした構造的な課題が人材の流動化につながる可能性を踏まえ、経営者の実感と具体的な影響の把握を目的として今回の調査が実施されました。

以下の章で、設問ごとの回答結果を具体的な割合や順位とともに示し、中小企業の経営判断や施策立案に資するよう整理して報告します。

人材の確保・流出に課題を感じる中小企業経営者の約85%が、賃上げ格差拡大による将来的な人材流出に危機感を抱いていると回答!CRAYONZが「中小企業における賃上げ格差と人材流出に関する調査」を実施! 画像 3

採用・定着の「具体的な課題」――経営者が挙げた上位項目

人材の確保・定着に課題があると回答した経営者に限定した設問の集計からは、課題が具体化している項目の順位が明らかになりました。上位3項目はほぼ僅差で並び、複合的な対応が求められていることがうかがえます。

具体的には、1位「採用応募数の減少」19.6%、2位「管理職・リーダー人材の不足」19.0%、3位「大企業との賃金・待遇の格差」18.3%という結果で、どの課題も単独では解決しにくい性質を持っています。

人材の確保・定着に課題がある中小企業が特に問題視する点(上位3項目)
順位 課題項目 回答割合
1 採用応募数の減少 19.6%
2 管理職・リーダー人材の不足 19.0%
3 大企業との賃金・待遇の格差 18.3%

この結果は、採用そのものの母数が減ることと、内部で育成すべき管理職人材が不足していること、外部環境として大企業との待遇差が影響していることが、同時に経営課題として存在していることを示しています。

回答割合に大きな差がない点からも、経営者側の“危機意識”は多面的であり、単一施策だけでは十分な対処が難しいことが読み取れます。

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賃上げの波がもたらす影響と経営者の危機感

大企業を中心とした賃上げの動きが中小企業に与える影響について、「どの程度影響があるか」を尋ねたところ、『ある程度影響がある』46.4%、『非常に影響がある』37.2%となり、合計で80%超の経営者が賃上げの波に何らかの影響を受けていると回答しました。

その影響のうち最も深刻視されている点は「採用応募者の数が集まりにくくなったこと」で、影響を受けていると回答した層の中で46.5%が最も問題であるとしています。続いて「より良い条件を求めて離職・転職する社員が増えたこと」23.8%、「社内に不満が生まれ士気が低下していること」12.9%となっています。

  • 賃上げの影響を感じる中小企業の割合: ある程度影響がある 46.4%、非常に影響がある 37.2%(合計約83.6%)
  • 深刻な影響の内訳(上位3): 採用応募数の減少 46.5%、離職・転職の増加 23.8%、士気低下 12.9%

加えて、賃上げ格差が今後拡大した場合の将来的な人材流出に対する危機感を尋ねたところ、「ある程度の危機感を抱いている」45.7%と「非常に強い危機感を抱いている」38.2%を合わせて約85%の経営者が将来の流出リスクに懸念を示しています。

このデータは、現時点での採用難に加え、将来的な離職・流出という長期的リスクに対しても高い警戒感が広く共有されていることを示しています。結果として、賃金という短期的対応だけでなく、中長期の組織戦略が求められていることが明らかです。

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経営者が考える賃金以外の対策

賃金の改善以外に、従業員の定着率を高め人材流出を防ぐために重要だと考える施策としては、1位「従業員の功績や努力を正当に評価する人事評価制度の構築」46.1%、2位「良好な人間関係やコミュニケーションを促進する組織風土づくり」41.8%、3位「福利厚生の拡充」34.6%という結果になりました。

これらは、賃金以外の非金銭的要因が従業員の満足度や定着に直結するという経営者の認識を示しており、評価制度の整備や組織風土の改善が重要な施策と捉えられています。

  1. 人事評価制度の構築(46.1%): 功績・努力を可視化し、納得感ある処遇につなげる仕組み
  2. 組織風土づくり(41.8%): 良好な人間関係とコミュニケーション促進による心理的安全性の向上
  3. 福利厚生の拡充(34.6%): 非金銭的待遇の強化で多様なニーズに対応
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CRAYONZの提供する学びと実践施設が担う役割

本調査の結果を受け、株式会社CRAYONZは自社の提供する「CRAYONZ教育」を通じて、賃金以外の人材定着策に対する一つのソリューションを提示しています。CRAYONZの「超体験型研修」は、野外・水中・室内・瞑想の4つの体験コンテンツを通じて、参加者が自らの限界に向き合い、相互理解と信頼を醸成する点を特徴としています。

これらの研修は座学中心の教育とは異なり、実践的な体験を重ねることで個々の強みや課題が明確になり、納得感のある人事評価制度の構築や、組織内のコミュニケーション改善の基盤形成に資することが期待されています。導入実績は大手企業からベンチャーまで500社以上にのぼります。

提供施設
栃木県那須にある自社保有の「実践型人材開発センター」(7,000㎡)でのみ提供。野外・水中・室内・瞑想の独自コンテンツを一箇所で実施できる環境を備える。
事業者情報
株式会社CRAYONZ(本社:〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 Win Aoyamaビル UCF6階、代表取締役社長:日髙 心陽)
事業内容
「超体験型研修」を軸とした人材育成・能力開発、マネジメント/リーダーシップ研修、制度構築/組織開発コンサルティング、青少年向け研修等
関連URL
https://crayonz.jp/、プログラム詳細: https://crayonz.jp/outdoors/

CRAYONZは、研修による相互理解や信頼形成を通じて、人事制度設計や組織変革の土台づくりを支援するとしています。中小企業が抱える短中長期の人材課題に対して、賃金以外の施策を補完する手段として位置づけられます。

本記事の要点まとめ
項目 内容
調査実施者 株式会社CRAYONZ(本社:東京都港区、代表取締役社長:日髙 心陽)
調査期間・方法 2025年8月20日〜8月22日、インターネット調査
対象・人数 中小企業の経営者(20代〜60代の男女)、574名
主要な所見(要約) ・中小企業の53.4%が人材確保・定着に課題。
・課題の上位は「採用応募数の減少」「管理職・リーダー人材不足」「賃金・待遇の格差」。
・賃上げの影響を受けている経営者は約8割超。最も深刻なのは採用応募数の減少。
・約85%の経営者が賃上げ格差拡大による将来的な人材流出に危機感。
経営者が重視する賃金以外の施策 1位 人事評価制度の構築(46.1%)、2位 組織風土づくり(41.8%)、3位 福利厚生の拡充(34.6%)
CRAYONZの提供 那須の実践型施設での超体験型研修(野外・水中・室内・瞑想)を通じ、人事評価制度の基盤や組織風土改善の支援を提供
参考URL https://crayonz.jp/

本調査は中小企業経営者の実感を数量化したものであり、賃上げ格差の拡大が採用母数の減少や将来的な流出に繋がるという点で、多くの経営者が高い危機感を抱いていることが確認されました。また、賃金以外の施策として、人事評価制度の構築や組織風土の改善、福利厚生の充実が重要視されている点は、企業側の対応策の方向性を示す示唆となります。

本文で示した調査結果やCRAYONZの提供する研修プログラムの情報は、それぞれの組織が抱える課題に対して検討すべきポイントを整理したものです。調査概要や数値は本文中の通りですので、施策検討の基礎資料として参照できます。

参考リンク: